
なぜ平安時代の女性は、長い黒髪を美しいと考えたのでしょうか。なぜ武士は頭頂部の髪を剃り、「月代(さかやき)」にしたのでしょうか。そして、なぜ私たちは白髪を気にしたり、学校や職場で髪型を意識したりするのでしょうか。
髪型は、一見すると個人の好みやおしゃれの問題に見えます。しかし、その背景には、それぞれの時代の「美しさ」の基準、身分、性別、年齢、職業、社会的役割など、さまざまな社会や文化のルールが隠れています。
京都光華大学社会学部社会共創学科の平松隆円准教授が、神戸新聞文化センター(KCC)が開催する「KCC・にっしん 第68期リフレッシュサロン」で講師を務めます。
演題は「髪にまつわる文化」
平松准教授が登壇するのは、2027年2月17日(水)に行われる第5回講演です。
演題は、「髪にまつわる文化~垂髪、月代から丸刈りの誕生、白髪を嫌う理由~」です。
平安時代の垂髪(すいはつ)、武士の月代、近代以降に広まった丸刈り、そして白髪に対する意識などを手がかりに、日本人が髪とどのように向き合ってきたのかを読み解きます。
髪型を調べると、社会の「当たり前」が見えてくる
平松准教授の専門は、化粧心理学、化粧文化論です。化粧、髪型、服装など、人が自らの身体を整え、飾る行為を「よそおい」と捉え、その背景にある心理や社会、文化について研究しています。著書『黒髪と美の歴史』(KADOKAWA)では、平安時代の長い黒髪から、武家社会の結髪、江戸時代の多様な髷、近代の断髪まで、髪型の変化を通して日本社会の歴史を読み解いています。
たとえば、平安時代には長く豊かな黒髪が女性の美しさを示す重要な要素とされました。一方、武家社会になると男性の髪型には武士としての身分や役割が表れるようになり、江戸時代には女性の髷も年齢や身分、職業などによって多様化していきます。
髪型は、たんなる「流行」ではありません。その時代に誰がどのような髪型をすることを認められていたのかを見ると、当時の社会制度や価値観、人間関係まで見えてきます。
なぜ白髪を隠したくなるのか
今回の講演では、「白髪を嫌う理由」もテーマの一つです。白髪は身体の自然な変化ですが、人は昔から髪を染めたり、別の髪を添えたりしながら、それを目立たなくしようとしてきました。そこには、単なる美的な好みだけではなく、「若さ」をどう評価するのか、「老い」をどのように捉えるのかという社会の価値観も関わっています。
現代でも、白髪染めをする人がいる一方で、あえて白髪を生かした「グレイヘア」を選ぶ人もいます。髪について考えることは、「美しさとは何か」「年齢とは何か」「自分らしさとは何か」といった問いを考えることでもあります。
美容やファッションも社会学の研究テーマになる
高校生のみなさんの中には、「社会学」と聞くと、難しい社会問題について勉強する学問だと考える人もいるかもしれません。しかし、社会学の研究テーマは私たちの日常生活の中にもあります。
なぜ学校には髪型や髪色についてのルールがあるのか。なぜ就職活動になると黒髪にする人が増えるのか。なぜ時代によって「かわいい」「かっこいい」と感じる髪型が変わるのか。なぜ男性と女性では求められてきた髪型が異なるのか。
こうした身近な疑問も、社会学では大切な研究テーマになります。髪型や化粧、ファッションを入り口にすると、ジェンダー、世代、学校、仕事、消費、流行、メディア、歴史など、さまざまな社会の問題へ問いを広げることができます。
第68期リフレッシュサロンについて
「KCC・にっしん 第68期リフレッシュサロン」は、神戸新聞文化センターが開催する全6回の講演会です。
平松准教授のほか、元朝日放送アナウンサーの三代澤康司さん、元芦屋市長の山中健さん、俳優・画家の片岡鶴太郎さんなど、さまざまな分野で活躍する講師が登壇します。平松准教授は、第5回を担当します。
身近な「髪」というテーマから、日本文化と社会の意外な歴史をのぞいてみませんか。
【講演概要】
イベント名:
KCC・にっしん 第68期リフレッシュサロン
平松隆円准教授の講演:「髪にまつわる文化~垂髪、月代から丸刈りの誕生、白髪を嫌う理由~」
日時:2027年2月17日(水)14:00~15:30
会場:アスピア明石 北館9階子午線ホール(明石市生涯学習センター)
参加費:全6回 6,000円
主催:神戸新聞文化センター
後援:日新信用金庫、日本フルハップ
定員:193名
※申し込み方法や最新の開催情報については、神戸新聞文化センター公式ページをご確認ください。



