ニュース

教員コラム

「飲み込みやすい和菓子」の紹介

現在、わたしは健康栄養学科やライフデザイン学科の教員とのチームで、「機能性和菓子」や「嚥下調整食和菓子」の開発に取り組んでいます。

 「機能性和菓子」とは、例えば血糖値の上昇を抑制するなどの特定の栄養素を多く含む和菓子です。また、「嚥下調整食和菓子」とは、病気や加齢によって飲み込む力が低下した方でも飲み込みやすいように調整した和菓子のことです。

 元々は、言語聴覚士として病院に勤務していた2013年に、所属していた「京滋摂食嚥下を考える会」という多職種によって嚥下障害(食べること・飲み込むことの障害)の方の支援活動をする団体で、飲み込みやすい和菓子のプロジェクトが始まることになり、そこに参加したことが、今の活動の原点です。

日頃から和菓子が好きで食べる機会が多く、また、病院で嚥下障害の方のリハビリを担当していた時、「あんこが食べたい」と言われる方に、その方が安全に食べることができる和菓子が無かったことから、ぜひ嚥下障害の方でも食べられる和菓子の開発に携わりたいと考えました。(病院などで嚥下障害の方に提供されるデザートは、プリンやゼリーなどの洋菓子がほとんどなのです…)

 京都の和菓子職人さんたちと言語聴覚士・管理栄養士・医師・歯科医師など医療・介護分野に関わる専門職との間で検討を重ねた結果、飲み込みやすくて、美味しい嚥下調整食和菓子が6種類商品化されました。水ようかん・桜もち・合わせ餅・わらび餅・みたらし団子の5種類は冷凍保存で解凍して食べる和菓子、やわらか羊羹は常温管理ができる和菓子です。その後、わたしが京都光華女子大に移ってからは、大学の地元の和菓子屋さんに協力をお願いして、もう1種類のしそ餅が商品化され、現在は7種類の和菓子が美濃与食品さんのHPを通じて購入できます。摂食・嚥下和菓子 – 美濃与食品株式会社 (minoyo-food.co.jp)

 お餅や団子など粘り気のある和菓子は、元々は嚥下障害の方には食べるのが難しい食品なのですが、材料の工夫やでんぷん分解酵素等の利用により、飲み込みやすく、のど越しの良い和菓子になっています。

 今後、感染の状況が落ち着いた際には、大学のオープンキャンパスで試食してもらえる機会をぜひ作りたいと思います。

 

言語聴覚専攻

関 道子

しそ餅

合わせ餅