防災リュック=非常用持ち出し袋の重さには、よく耳にする「目安」があります。成人男性15kg・成人女性10kg。この数字を覚えていて、またはこの言葉を聞いて、重い防災リュックを用意していませんか?
私は旅行が好きなのですが、空港で預け荷物がなかなか出てこず「タイパ悪いな」と思って、今では手荷物以上のサイズのものは持たない派になりました。リュック1個で海外も行きます。身軽で気に入ってるんですが、太平洋を渡ったときはさすがに空港の方に呼び止められましたね。「Hey!! Youの荷物は?本当にそれだけ??!?!?」不審者疑惑のサトウですこんにちは。別室送りだけはやめて!
旅でも「本当に必要なものだけ」を重視しているのですが、災害時の防災リュックでも同じ話なんです。軽く、素早く動ける準備こそが、いざというときの生存確率を上げます。この記事では、防災リュックの重さの目安の正しい受け止め方と、あなたに合った防災リュックの作り方=断捨離ガイドをお伝えします。
- 防災リュックを買ったけど重くて「これ本当に持って逃げられる?」と感じている方
- とりあえず詰め込んだら15kgになってしまった方
- 「軽くしたいけど、何を削っていいかわからない」方
重さの目安の「正しい受け止め方」
備えとしての防災グッズは大きく分けると3種類があります。
今回お話しするのは「非常用持ち出し袋」、別名防災リュックです。
防災をテーマとした講演や講座では、防災リュックの重さについてこう話されることが多いと思います。
成人男性:15kg / 成人女性:10kg / こども・高齢者など:6kg
多くの場合「目安」とだけしか紹介されませんが、この数字は上限の目安と考えられます。
私はこの数字を「これだけ詰めよう」ではなく、「これ以下に収め、かつ実際に背負って走れるか確認しよう」という意味で伝えるようにしています。地震が起きて、家が倒壊しそうで、火災が起きている。そのとき、重いリュックを背負って走れますか?階段を駆け下りられますか?瓦礫を越えられますか?
ということで、この記事では 「体重の10%〜15%」 を現実的な目安として使います。わかりやすく男性の体重が60kg、女性の体重が50kgだった場合、おすすめできる防災リュックの重量はこのようになります。
| 体重 | 防災リュックの重量目安 | |
|---|---|---|
| 男性 | 60.0kg | 6.0kg〜9.0kg |
| 女性 | 50.0kg | 5.0kg〜7.5kg |
幅を持たせているのは「何日分を想定するか」などによって変わるためです。
この記事ではなぜ「体重の10%〜15%」 を使っているのか?についてはまた別記事で書きますね。
断捨離の基準:「命をつなぐ時間」をまず考える
防災リュックを用意するときは「何日分を想定するか?」がとても重要です。
防災リュックを何日分にするかは、自宅周辺のハザード(津波・土砂・浸水)、自治体の避難計画、被害想定規模などの要因によって変わってきます。
人と防災未来センターが作成した「減災グッズチェックリスト」では、防災リュックは1日分が想定されています。とにかく1日生き延びることを最優先にして、2日目以降は備蓄を取りに帰れたり、支援物資が期待できる。これでしたら1日分で問題ありません。
しかし、ご自宅へ帰宅困難な状況になる恐れがあり、支援物資が手元に届くのも時間がかかる可能性があるのでしたら1日では足りないかもしれません。このときは「2〜3日分」を目安に防災リュックを準備すると良いでしょう。
- 帰宅できそうなら:1日分
- 帰宅困難の可能性があるなら:2〜3日分
断捨離するかどうかの判断は、次のフローで繰り返し考えてみてください。
→ リュックに入れる
→ リュックに入れる
→ 原則、置いていく
断捨離防災リュック厳選リスト
(一人暮らし版)

ここでは、命をつなぐ時間を1日分として、軽さを最優先に厳選しました。「安心のために」ではなく「生きるために」必要なものだけです。
飲料水の最低限。残りは避難所や途中の給水所で調達する前提にしましょう。長期保存水(5年保存タイプ)を選ぶと賞味期限の管理が楽です。飲料水を想定しているので、3本のうち1本は経口補水液にしておくと更に良いでしょう。
缶詰は重いので自宅での備蓄へ回しましょう。アルファ米も水が必要なので同様にパス。カロリーメイト、プロテインバーなどのバランスのよい栄養補助食品に加え、軽量かつ栄養価の高いナッツ類(脂質)もおすすめです。リュックの重さに余裕がある方はゼリー飲料なども検討してみてください。
避難所のトイレが使えない状況は珍しくありません。トイレを我慢した結果、脱水・体調悪化につながるケースも報告されています。軽くてコンパクトなので、絶対に削らないことをおすすめします。
スマートフォンは避難経路の確認・安否連絡・情報収集のすべてに使います。電池が切れたら詰みます。10,000mAhあればスマホを2〜3回分充電できます。普段から満充電を維持する習慣をつけましょう。
スマホが故障・電池切れしても行動を止めないための、物理的なバックアップです。何かを書き留めたい、書き残して自分の安否を伝えたい、そういうときに物理的なメモは役に立ちます。
持病・花粉症・生理痛など、普段飲んでいる薬は必ず確保してください。避難所では処方薬の入手が非常に困難です。お薬手帳はコピーを取って防水袋に入れておきましょう。
絆創膏・消毒液・包帯の最低限セットで十分です。大型の救急箱は不要。100円ショップの小型救急セットで間に合います。小さめのハサミが入っていると尚良いです。
避難所は多人数が密集する環境です。感染症対策と、断水時の手指衛生のためにウェットティッシュは必須。小さめのものは軽くてかさばらないので、ためらわず入れてください。
避難所まで逃げる際、瓦礫を移動させたり怪我しやすいものに触る必要があるかもしれません。怪我のリスクを最小限に抑え、安全に避難することを心がけましょう。
夜間・停電時の移動に必須です。スマホのライトは電池を消耗するので代用しないこと。両手が使えるヘッドライトタイプが特におすすめです。
余震で建物や壁が倒れてきて身動きが取れなくなるかもしれません。そのようなときに自分の居場所を知らせるために用意しておきましょう。防災リュックに入れたままではなく、避難しながら自分の首にかけることを忘れないでください。
停電時はキャッシュレス決済が使えません。ATMも使えなくなります。自動販売機で飲料を買えるよう、小銭も一定量用意しておきましょう。
雨天時の防水、簡易トイレの補助、ごみ袋など多用途。数枚入れてもほぼ重さは変わりません。大きめのポリ袋は簡単な工作で「雨合羽」に変身する便利グッズです!作り方は別の記事で紹介しますね。
冬の体育館を思い浮かべてください。床は氷のように冷たかったし、凍える寒さでしたよね?体温が奪われるのを防ぐために冬季は準備を怠らないようにしましょう。その他、軽量な「アルミ保温シート」もあります。
「あれ意外と軽いな、じゃあもう少し入れるか」と思ったあなた、ちょっと待ってください!当然ですが防災リュックは軽い方がいいです。上で紹介したもので十分であればこれ以上入れることはありません。「私はこれを入れておかないと大変なことになるな」と思った方は足してください。すべての判断基準は「命をつなぐために必要か」です。
「これは優先度低め」断捨離リスト
以下は「気持ちはわかるけど、防災リュックには入れなくていい」ものたちです。代替手段と合わせて確認してください。
(注) 防災リュックに入れるのを否定している訳ではありません。必要と思ったら入れましょう。判断するのはあなた自身です。
リュック本体の選び方
中身を絞っても、リュック自体が重ければ意味がありません。「防災専用リュック」として売られているものを購入されても良いですが、普段使っているデイバッグのようなものでもOKです。軽く、できれば撥水・防水性のあるものを選びましょう。
25〜35L(一人暮らし・若者向け)
ナイロン製(軽量、撥水・防水)
リュック本体で1kg以内を目指す
防災グッズの最初の一歩はこちら
防災リュックより前に、そもそも何も準備していないよ!という方は、こちらの記事で防災グッズ最低限リストをまとめていますのでご覧ください。
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まとめ:重さの目安を「正しく使う」ための3つのポイント
- 防災リュックは「逃げるために持っていくもの」。持ち出しに特化して中身を考える。15kg・10kgは「上限の目安」。
- 断捨離の基準は「命をつなぐために必要か」
- 最後は必ず実際に背負って確認。走れる・階段を下りられる重さかどうかが判断基準
今日やることはひとつだけです。今の防災リュックを体重計で計る。リュックがない方は、手持ちのリュックに「水500mL×3本」「栄養補助食品」「モバイルバッテリー」だけ入れて背負ってみてください。「これなら走れる」と感じたら、それが正解のスタートラインです。
「ちょっと防災」、今日から始めてみてください。
この記事は著者の研究・教育成果をもとに作成したものです。大学の公式な見解や推奨を意味するものではありません。防災には現場の状況に応じた判断が必要です。記事に含まれる情報の活用は、読者ご自身の責任において行っていただきますようお願い申し上げます。なお、記事に含みうる誤りに関する一切の責任は筆者に帰属します。
