2026.03.28 ぼうさいらぼ

スマホの充電だけで大丈夫? 停電であなたが困ること:72時間を生き抜く「電気依存」チェックリスト

「停電?懐中電灯と、スマホのバッテリーが残ってれば何とかなるでしょ!」本当にそうでしょうか?

スマホ依存って言葉がありますよね。スマホを触れないとイライラする…まさに現代病ですね。私が無いと困るのは、スマホではなくいつも作業しているパソコン。飛行機で作業しているときはイライラではなくちょっとドキドキしています。何に?隣の人が飲んでいるドリンクのコップ!そのコップがこちらに倒れて水浸しになったら…パソコンの物理的な滅!は絶対に避けたいサトウですこんにちは。もはや私の本体はデータなのか?

パソコンが使えなくなったら私は魂を抜かれたようなものですが、こうして考えると私の日常はすっかり「電気依存」ですね。皆さんの身の回りにも、スマホや家電など「電気が止まると困るもの」はたくさんあるはずです。今回は、災害時に停電が起きたとき、あなたの家の中で何が止まるのかをカテゴリ別に整理します。

この記事でわかること
こんな人におすすめ!
  • 「ろうそくと懐中電灯があれば停電は乗り切れる」と思っている方
  • オール電化・IHコンロの住宅に住んでいる方
  • 停電対策を考えたことがない方

大規模地震での停電、どのくらい続くのか

停電の復旧にかかる時間は、被害の規模によって大きく異なります。過去の大規模災害を見てみましょう。

阪神・淡路大震災(1995年)
  • 最大停電戸数:約260万戸
  • 応急送電完了まで:約7日(倒壊家屋等を除く)
東日本大震災(2011年)
  • 最大停電戸数:約800万戸以上(東北電力・東京電力管内合計)
  • 大部分の復旧まで:約8日間(発災後8日で約94%解消)、一部地域では数ヶ月以上
熊本地震(2016年)
  • 最大停電戸数:約47万7千戸
  • 大部分の復旧まで:約4日間、阿蘇地域では約2週間
令和6年能登半島地震(2024年)
  • 最大停電戸数:約4万4千戸
  • 概ね復旧まで:1ヶ月(進入困難な地域はそれ以上)

出典:内閣府(2011), 経済産業省(2016), 経済産業省(2024)などをもとに作成

「数時間で復旧するだろう」は、大規模地震では通用しません。72時間(3日間)の停電を「最低限の想定」として備えておくことが現実的です。南海トラフ地震の被害想定では、最大で約2,930万戸の停電が想定されており、復旧までに1〜2週間、地域によってはそれ以上かかる可能性もあります(内閣府, 2018)。

電気依存チェックリスト

カテゴリ別に「停電で使えなくなるもの」を整理しました。あなたの家の状況と照らし合わせながら読んでみてください。なお、停電中ですので照明関係はすべて使えなくなります。「あれっ、懐中電灯どこにあったっけ?」と停電してから焦ることのないよう、懐中電灯や充電式ランタンはすぐ手の届く場所に置いておきましょう。

災害時に停電して部屋が真っ暗な中、人が座っているイラストイメージ

【調理・食事】

使えなくなるIHクッキングヒーター
使えなくなる電子レンジ
使えなくなる電気炊飯器
停止・注意冷蔵庫・冷凍庫(停電後、扉を開けなければ冷蔵は2〜4時間程度、冷凍は約48時間は保冷機能を維持できると言われています。ただし開閉するたびに温度が上がります)
使えなくなる電気ポット・ケトル
IHコンロ・オール電化の方は調理が完全にできなくなります。カセットコンロとボンベの備蓄が必須です。
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【情報収集・通信】

停止・注意Wi-Fiルーター(停止。スマホのモバイルデータ通信は使えることがあるが、速度低下・輻輳の可能性あり)
使えなくなるテレビ(防災情報を得る手段が失われる)
停止・注意固定電話(光回線・IP電話は使えなくなる。アナログ回線は使える場合あり)
使えなくなるスマホの充電(コンセントからの充電不可)
「停電=情報難民」になるリスクがあります。モバイルバッテリー(スマホ約3〜4回分を充電できる容量を目安に)は最優先の備えです。また、スマホがつながらないときのために、乾電池式ラジオをご家庭で一つ用意しておくと良いでしょう。

【セキュリティ・設備】

停止・注意オートロック(マンション):停止。解錠できない、または常時開放になる機種がある。管理会社に要確認
停止・注意エレベーター:停止。建物によっては非常用電源で使える場合あり
使えなくなる在宅医療機器(人工呼吸器・在宅酸素など):命に関わるため要事前対策

【住環境・衛生】

使えなくなるエアコン(夏の熱中症・冬の低体温症リスクが高まります)
使えなくなる電気式床暖房
停止・注意電動シャッター:動かなくなる。手動解除の方法を事前に確認しておくこと
停止・注意水洗トイレの自動洗浄・ウォシュレット:停止
大きな地震が発生した場合、下水管が破損している可能性があるため、許可が出るまで水洗トイレは使わないことをお勧めします。簡易トイレ・携帯トイレを備蓄しておくことが重要です。
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災害時に「在宅避難」を選ぶ場合、エアコンがなくても生活できる気候か、階段を使って部屋と地上を頻繁に登り降りする必要がないかを確認するようにしましょう。もしこれらに該当しない場合、早い段階で避難所や遠方の親戚・知人宅への避難を検討した方が良いケースもあります。

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【給湯・お風呂】

使えなくなるガス給湯器(リモコン式):電気制御のためガスが来ていても停電中は使えない機種が大半
使えなくなる電気温水器・エコキュート
※ ガス給湯器は「ガスと電気の両方」が必要な機器です。ガスが来ていても停電中は使えない機種が大半です。非常に見落とされやすいポイントですので注意しましょう。
参考:LPガス安全委員会「停電中のガス器具使用の注意」

特に見落とされやすい盲点3つ

チェックリストの中で、特に「盲点になりやすい」ものを3つ取り上げます。

1

ガスコンロが使えないことも

ガスコンロの点火方式には「乾電池式」と「AC電源式(コンセント給電)」があります。一般家庭で多く普及しているのは乾電池式で、こちらは停電中でも使用できます。一方、AC電源式は停電中に使えなくなります。

今すぐ自分のコンロの点火方式を確認しましょう。

参考:リンナイ株式会社「ガスコンロ|停電時にガスコンロは使用できますか?」

2

マンションでは断水も起きる

マンションは屋上の給水タンクに電気でポンプアップして水を供給しているタイプ(受水槽式給水)があります。停電が続くとポンプが止まり、タンクの水を使い切った時点で断水します。

近年では「直結増圧式給水」という方式のマンションも増えていますが、ポンプ自体を使用しているため停電時には同様に給水できなくなります。

マンション住まいの方は「電気が止まると水も止まる」可能性を意識してください。
3

冷凍食品の備蓄が役に立たなくなる

「非常食として冷凍食品を多めにストックしている」という方へ。停電が続くと冷凍庫内の温度が上がり、食品が傷みます。冷凍庫は満杯に入っており扉を開けなければ約48時間は保つと言われていますが、それ以上の停電では食品ロスが生じます。

備蓄は常温保存できるものを中心に揃えましょう。
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停電に備えるための優先順位

停電対策を「全部やろう」とすると大変です。優先順位をつけましょう。

1
最優先

今日から取り掛かろう

  • モバイルバッテリー(スマホ約3〜4回分を充電できる容量を目安に)を常に充電しておく
  • 懐中電灯または充電式ランタンを手の届く場所に置く
  • 乾電池の予備を用意する(単1・単3は特に品薄になりやすい)
2
次に優先

2週間以内には達成しよう

  • カセットコンロとボンベ(1本で約60〜70分使用でき、最低3本、できれば6本が目安)を用意する
  • 自分のコンロの点火方式・給湯器の仕様を確認する
  • 常温保存できる備蓄食料を7日分揃える
  • 家庭に1つ乾電池式ラジオを用意する(または手回し・ソーラー充電式)

まとめ

今回のポイント
  • 大規模地震での停電は72時間(3日)どころか、数週間続くこともある
  • 「停電=照明が消えるだけ」ではない。調理・情報収集・給湯・オートロックまで止まる
  • IH・オール電化・マンション高層階の方は特にリスクが高い
  • 見落としやすい盲点:ガスコンロの点火方式・マンションの断水・冷凍備蓄の無効化
  • 今日からの優先順位:モバイルバッテリー → 懐中電灯 → カセットコンロ → ラジオ

「停電になったら困るものリスト」を作ること自体が「ちょっと防災」。今日、あなたの家のコンセントに繋がっているものを見て回ってみてください。

「ちょっと防災」、今日から始めてみてください。

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Author

サトウ先生|博士(工学) / 防災士
京都光華女子大学 社会学部 社会共創学科
「専門知識を、わかりやすく身近に。」これまで数々の自然災害を目の当たりにしてきた実体験をもとに、防災に関する大学での講義や地域での講演を行っている。南国出身のため雪にはとっても不慣れで、京都での最大の災難は大雪のときに滑ったことだと思っている。摩擦係数の計算は得意だが、雪道の滑りやすさは計算外だった。だが、その失敗さえも防災の教訓に変えてしまうのが私のスタイルだ。実に面白い。
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このブログは、学生や地域の皆様が防災の基本を体系的に学べる「オンライン防災教本」を目指して、本学教員である筆者の研究・教育成果に基づき作成しています。
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参考・出典
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