健康科学部 健康栄養学科 管理栄養士専攻 /健康スポーツ栄養専攻 ニュース 大学での学びから専門職になるプロセスを、逆さまにして考える~私(巽)を事例に~

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教員コラム

大学での学びから専門職になるプロセスを、逆さまにして考える~私(巽)を事例に~

はじめまして、この春より着任しました巽美奈子と申します。

 このブログも初投稿です。そこで本回は、自己紹介をかねまして、私が(管理)栄養士になった経験から、今から(管理)栄養士を目指すみなさんにお話できることを考えて書くことにしました(つまりタイトルにある、逆さまにして考える!です笑)。よろしくお願いいたします。

 

 私が栄養士になろうと決めたのは、とても単純な理由からです。何かの専門職になって就業に困らないようにしたかったからです。食べることにかんして人一倍貪欲だった私は、栄養士という食にかかわる専門職があることを見つけ、これだ!と思いました。しかしどのようなお仕事をするのかはよくはわかっていませんでした。

 まず入学してみてわかったことは、栄養士として働くためには定められた多くの学問・知を「学ばなければならない」ということでした。時間割はすべて、多岐にわたる様々な分野の科目で埋められました。実践栄養学・調理学だけでなく、臨床医学や食品化学、心理学などまでありました。このときは、それらを学ぶ必要性を理解する時間は与えてもらえず、ただ「当然学ぶべき科目だ」と上からいわれることに強い抵抗を感じてしまったのでしょう。それでどうしても勉学に対し前向きになれませんでした。

 それでもなんとか卒業し、病院栄養士、その後は栄養教諭(はじめは学校栄養職員)として仕事をしました。(管理)栄養士として目指される専門性とは、人びとの「食べ方」を、よりよい方向へと導くことでした。実際に仕事に就き、気づいたことは、栄養士といえども栄養のことばかりでなく、いろいろな角度から人びとの「食」について考えないといけないということでした。こうした経験を重ねていくにしたがい私は、学生時代に与えられたあらゆる専門知だけでは足りず、「食」をめぐる「社会的なもの」にも目を向ける必要があるという考えを固めていきました。

 またそうした経験は、「食」という概念の奥深さへの気づきと、問いを引き起こさせるものでもありました。「食」は、社会に存在するさまざまなことがらと連関しています。私はそのことについて、もっと深く掘り下げて考えてみたいと思うようになり、研究者を目指しました。

 現在も私の「食」をめぐる「社会的なもの」への探究はつきません。その一方で、人びとの「食」はますます多様化、細分化しています。こうした「食」の課題を目前にして、今後それに関わっていかれるみなさんには、広い視野をもって人びとの「食」を考えられるようになってほしいと思います。みなさんには、決められた専門知の受容にとどまらず、「食」をめぐる自分の問いを見つけ、深く学ぶことの「おもしろさ」を学生のうちに経験してほしいと思います。それに大学というのは学術研究の「場」です。ある学問について自ら追究することのできる研究機関です。ぜひこの「場」を活用してください。

そして私自身も、みなさんから大いに刺激を受け、共に成長したいと願っています。     ()