アルバイト中に大きな地震が来たとき、あなたはどうしますか?
「スタッフとして動くべきか」「自分の身を守るべきか」この問いに、明確な答えを持っている大学生はほとんどいません。でも、これを事前に考えておくかどうかで、実際の行動は大きく変わります。今日はその解説を行います。
- 飲食店・コンビニ・小売店などでアルバイトをしている・始めた方
- 「お客様優先」で動くべきか迷っている方
- 職場での地震対応を一度も考えたことがない方
「自分を守る」は「お客様を見捨てる」ではない
まず、大前提を整理します。
地震発生直後にスタッフが最初にやるべきことは、自分の身を守ることです。「え、それってお客様より自分優先ってこと?」と感じる方もいると思います。でも考えてみてください。スタッフ自身が怪我をしてしまったら、その後のお客様への対応は誰がやるのでしょうか。
これはアルバイトに限らず、防災の基本です。最優先されるべきは「自助」、つまり発災の瞬間は自分の命が助かることだけを考える。自分が無事でなければ、誰も助けられません。
順番の問題であって、どちらを選択するかの問題ではない
揺れている最中は自分の安全確保を最優先に、揺れが収まったらお客様の安全確認に移る。この順番を最初から決めておくことが重要です。
バイト中に地震が来たときの行動の優先順位
ステップ1|揺れている間(数秒〜数十秒)
自分の身を守ることだけ考える。
具体的には——頭を守る(腕・近くのもので)、低い姿勢をとる、落下物・転倒物から距離をおく。棚の多い場所・ガラスの近く・大型家電の近くは特に危険です。
立ったまま動こうとしない。揺れている最中の移動は転倒リスクが高く、落下物に当たる可能性も上がります。
ステップ2|揺れが収まったら(最初の1〜2分)
周囲の安全を確認してから行動を始める。
具体的には:火気の確認(飲食店の場合は最優先)、ガスの臭いがしないか確認、出口・通路に障害物がないか確認、お客様の状況確認と声かけ。
ステップ3|状況が把握できたら
店長・責任者の指示を待つか、または指示を仰ぐ。
いつ営業を再開するか・避難が必要かどうかは、スタッフ個人が判断するのではなく、責任者が判断することです。ただし責任者が不在の場合・連絡がとれない場合は、「お客様の安全確保」を優先した判断を自分でする必要があります。
業種別:特に注意が必要な状況とポイント
飲食店・カフェ
最大のリスクは火気です。揺れが収まったら、コンロの火・フライヤー・オーブンの確認を優先しましょう。熱い食材・液体が揺れで飛散するリスクもあるため、調理中は特に低い姿勢をとることが重要です。発災時、油や熱湯の近くにいるようでしたらなるべく離れるようにしましょう。また、お客様にはテーブルの下に身を隠すよう声をかけましょう。
コンビニ・スーパー・小売店
棚からの商品落下が最大のリスクです。皆さんも地震後の報道で、スーパーなどの棚から商品の多くが落ち、床に散乱している写真や映像を見たことがあると思います。棚の近くにいるお客様への声かけ(棚から離れるよう促す)が、揺れが収まった直後にやるべき最初の行動です。
また、電子レジ・電子決済機器が停電で使えなくなる可能性があります。「停電時の会計はどうするか」を事前に確認しておきましょう。
塾・学習教室・習い事
生徒(特に子ども)の安全確保が重要です。机の下に身を隠すよう指示する、泣いている子どもへの声かけ、保護者への連絡手順……これらをあらかじめ確認しておきましょう。
バイト先で事前に確認しておくべきこと
多くのアルバイト先では、地震時の行動マニュアルが存在します。でも「そんなマニュアルがあること自体知らなかった」という人がほとんどです。次のシフトに入る前に、以下を確認しておきましょう。
| □ | 職場の避難経路と避難場所はどこか |
| □ | 地震発生時の行動マニュアルはあるか |
| □ | 責任者が不在の場合、誰が判断するか |
| □ | 停電時の対応(会計・照明・設備)はどうするか |
| □ | お客様への声かけ・誘導の方法はあるか |
店長や社員の方に確認すると良いでしょう。
「バイト先で被災する」可能性を軽く見ない
東日本大震災(3.11)の発災時刻は14時46分、令和6年能登半島地震は16時10分。どちらも多くの人が職場・学校・外出先にいた時間帯です。「自宅にいるときに地震が来る」よりも「外出先・バイト先にいるときに来る」可能性は決して低くありません。
|
あわせて読みたい
外出先で被災したとき、「帰宅難民」にならない人がやっていること |
|
あわせて読みたい
緊急地震速報が鳴ったら何秒で何をするか:「考えてから動く」では遅い理由 |
まとめ
- 揺れている間は自分の安全確保が最優先。これは「お客様を見捨てる」ことではない
- 行動の順番:(1)揺れの間は身を守る → (2)収まったら周囲の確認 → (3)責任者の指示を仰ぐ
- 業種ごとに特有のリスクがある(飲食は火気、小売は棚の落下物など)
- 「職場の避難マニュアル」を次のシフト前に確認する
「いざというとき体が動く」状態を作るのは、知識ではなく「事前に決めておくこと」です。今日この記事を読んだことを、次のシフトに活かしてください。
「ちょっと防災」、今日から始めてみてください。
このブログは、学生や地域の皆様が防災の基本を体系的に学べる「オンライン防災教本」を目指して、本学教員である筆者の研究・教育成果に基づき作成しています。
実際の災害時は現場の状況に応じた柔軟な判断が求められます。記事に含まれる情報の活用は読者の皆様の判断と責任において行っていただきますようお願い申し上げます。また、記事の内容は大学の公式な見解や推奨を意味するものではありません。なお、記事に含みうる誤りに関する一切の責任は筆者に帰属します。
