「罹災証明書」とは、自宅が地震や水害で被害を受けたとき、真っ先に取得しなければならない書類です。どうやって取得するか、いつまでに取得しなければならないか、皆さんはご存知ですか?
いつかの記事で、「ヨーロッパに行ったとき、カバンの置き引きにあった」という話をしたと思います。実はそのときも手続きは大変で…。特急列車を降りた街の警察に行ったのですが、「ウチの担当ではない、乗った駅の警察に行け」(日本の役所か!)数日後、乗った駅の交番に行って警官の方に相談するも、その方あまり英語が得意ではなく、かと言って私は現地の言葉が話せないので身振り手振りで説明(ジェスチャーゲームか!)。散々な目に遭ったサトウですこんにちは。
そのときは、置き引きにあった後、どんな手続が必要なのか必死で調べたのもヘトヘトになった一因でした。置き引きも災害も一緒で、事が起こったときにどんな手続が必要か、今日から知っておくに越したことはありません。この記事では被災後に必要となる書類や支援制度について解説します。
- 「罹災証明書」という言葉を初めて聞いた方
- 賃貸・持ち家どちらに住んでいる方にも
- 「被災後のお金の話」を一度整理しておきたい方
り災証明書(罹災証明書)とは何か
「罹災証明書(りさいしょうめいしょ)」とは、災害対策基本法第90条の2に基づき、災害によって住家(自分が生活している建物)が受けた被害の程度を証明する書類です。
被害の程度は、市区町村の調査員が実際に建物を見て判定します。判定結果は「全壊・大規模半壊・中規模半壊・半壊・準半壊・一部損壊」の6段階で、この判定結果によって受けられる支援の種類と額が変わります。
| り災区分 | 認定基準(損害割合) |
|---|---|
| 全壊 | 主要な構成要素の損害割合が50%以上 |
| 大規模半壊 | 損害割合が40%以上50%未満 |
| 中規模半壊 | 損害割合が30%以上40%未満 |
| 半壊 | 損害割合が20%以上30%未満 |
| 準半壊 | 損害割合が10%以上20%未満 |
| 一部損壊 | 損害割合が10%未満 |
なぜ超重要なのか。それは、被災後に受けられるほぼすべての公的支援が「罹災証明書」を前提にしているからです。罹災証明書がなければ、支援の申請自体ができないケースが大半です。
罹災証明書の申請方法と注意点
- 申請先:被災した住家がある市区町村の窓口(または特設窓口)
- 申請時期:災害発生後、なるべく早く。「災害発生日から3ヶ月以内」と設定されている自治体が多いですが、自治体によって異なる場合がありますので、被災した場合にはすぐに確認するようにしてください。
必要なもの(京都市の場合)
自治体によって異なる場合があります。京都市を例にとると、以下の書類が必要とされています。
- り災(被災)証明交付申請書
- 被害状況のわかる写真(「自己判定方式」により判定する場合は必須)
- 被災した住家の図面(あれば)—配置図、平面図、立面図など ※図面がない場合は手書きの間取り図等
- 本人確認書類(マイナンバーカード、運転免許証、旅券、障害者手帳 等)
- 委任状(様式任意) ※代理人による申請の場合
(参考)京都市防災ポータルサイト「り災証明書・被災証明書について」
注意点1:写真を撮っておく
調査員が来る前に、被害の状況を自分でも写真に撮っておきましょう。調査までに時間がかかる場合があり、その間に片付けや修理を始めてしまうと、被害の実態が確認できなくなることがあります。「写真を撮ってから片付ける」を徹底してください。
注意点2:「住家」以外の被害には別の証明書が必要
罹災証明書はあくまで「住家」の被害を証明するものです。車・家財・非住家(倉庫・事務所など)の被害については「被災証明書」という別の書類が必要です。
罹災証明書を使って受けられる主な支援制度
判定結果に応じて受けられる主な支援をまとめます。判定が高いほど(全壊・大規模半壊に近いほど)受けられる支援が手厚くなります。
被災者生活再建支援金
全壊・大規模半壊・中規模半壊などの世帯を対象に、国と都道府県が共同で支給する制度です。基礎支援金(住宅の被害程度に応じて最大100万円)と加算支援金(再建方法に応じて最大200万円)の合計で最大300万円が支給されます。申請先は居住する都道府県(または市町村が窓口になる場合あり)。
義援金
自治体が配分する義援金も、罹災証明書の判定結果に基づいて配分されることが多いです。
災害救助法に基づく支援
応急修理制度(半壊以上で、自ら修理する資力がない場合に費用が支援される)、仮設住宅への入居(全壊・大規模半壊の場合)などが利用できます。
税の減免・猶予
固定資産税・所得税・住民税などの減免や猶予を受けられる場合があります。確定申告で「雑損控除」を活用することもできます。
その他
住宅ローンの返済猶予、公営住宅への優先入居など、自治体によってさまざまな支援があります。
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「申請期限」に注意すべき理由
被災後の混乱の中で、多くの方が「後でやろう」と思いながら申請を忘れてしまいます。しかし支援制度には申請期限があります。
申請期限の目安
- 罹災証明書自体の申請期限:自治体によって異なりますが、「災害発生日から3ヶ月以内」と設定されている自治体が多い
- 被災者生活再建支援金(基礎支援金)の申請期限:災害発生日から13ヶ月以内(都道府県によって延長される場合あり)
「生活が落ち着いてから申請しよう」と思っていると、期限を過ぎてしまうことがあります。被災直後で混乱していても、罹災証明書だけは最優先で申請することをお勧めします。
今日からできる準備
準備1:自分の家の所在地の市区町村の罹災証明書申請方法を確認しておく
自治体によって申請方法・窓口・必要書類が異なります。「お住まいの自治体名+罹災証明書」で検索して、今のうちに確認しておきましょう。
準備2:家の現状を写真で記録しておく
被災前の家の状態を写真に残しておくと、被害程度の判定の参考になる場合があります。特に高価な家財・設備は記録しておきましょう。
まとめ
- 罹災証明書は被災後の「ほぼすべての公的支援の入口」。最優先で申請する
- 被害の状況は、調査員が来る前に自分で写真を撮って記録する
- 判定結果に納得できない場合は再調査を申請できる
- 被災者生活再建支援金は最大300万円。ただし申請期限あり(基礎支援金は発災から13ヶ月以内)
- 今日のうちに「自分の自治体の罹災証明書の申請方法」を確認しておく
「備える」だけが防災ではありません。「被災後に何が受け取れるか」を知っておくことも、生活を守る大切な準備です。
「ちょっと防災」、今日から始めてみてください。
このブログは、学生や地域の皆様が防災の基本を体系的に学べる「オンライン防災教本」を目指して、本学教員である筆者の研究・教育成果に基づき作成しています。
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