2026.05.28 ぼうさいらぼ

「危険警報」って何?2026年5月から変わった防災気象情報を解説します

スマートフォンを手に驚いた表情の女性と、両手を広げて困惑した表情の男性の2人が並ぶ写真。背景には河川氾濫・大雨・土砂災害・高潮の各警戒レベルを色分けした防災気象情報の対応表と高架橋が合成されている。中央に「危険警報ってなに?」の大見出し、下部に「2026年5月から防災気象情報が変わる」のサブタイトルが重ねられた記事サムネイル。

2026年5月下旬から、「大雨警報」は「レベル3大雨警報」に、「土砂災害警戒情報」は「レベル4土砂災害危険警報」に変わりました。情報名にレベルが直接付くことで、見た瞬間に取るべき行動がわかるようになります。今回の変更で最も重要な「危険警報(レベル4)」は、全員避難のタイミングを示す新しい情報です。

「私の戦闘力は53万です」。漫画『ドラゴンボール』でフリーザ様が言い放ったこの言葉、今でも多くの方が使用する有名なセリフですね。スカウターという道具で戦闘力を数字で測る、という仕組みなのですが、皆さんもご存知なようにその後同漫画に出てくるキャラクターの戦闘力はインフレがすごくて…最終話まで見た後で振り返ってみると、53万は実はそんなにすごい数字ではないのでは?あの時のフリーザ様のドヤ顔は何だったんだ、と思う夢のカケラもないサトウですこんにちは。あっわたしの戦闘力はマイナスです!(疲

フリーザ様のドヤ顔はさておき、これは「私は強い」ということを漠然とした情報ではなく数字で伝える画期的なシステムでしたね。同じように、災害も「ヤバい災害だ」という漠然としたものではなく、誰もが分かりやすい形で伝えることが重要です。この記事では、2026年5月下旬から運用が開始された新しい防災気象情報について解説します。

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この記事でわかること
こんな人におすすめ!
  • 「大雨警報」「土砂災害警戒情報」を何となくしか理解していない方
  • 台風・大雨シーズンに備えたい方
  • 防災情報がわかりにくいと感じている方

なぜ今、防災気象情報が変わるのか

2026年5月下旬より、気象庁が発表する大雨警報などの「防災気象情報」の体系が刷新されました。気象業務法および水防法の一部改正にともなう、約2年半にわたる検討会の結果です(気象庁「防災気象情報に関する検討会」、2024年6月取りまとめ)。

なぜ変える必要があったのでしょうか。理由は大きく2つです。

問題1:「同名異レベル」で混乱を招いていた

これまで「大雨特別警報」はレベル5相当でしたが、「高潮特別警報」はレベル4相当という、同じ「特別警報」でも対象災害によってレベルが異なる状態がありました。名前だけでは危険の度合いが十分に伝わらなかったのです。

問題2:「全員避難」のタイミングを示す情報が分かりにくい災害があった

警報(レベル3相当)と特別警報(レベル5相当)の間に、「今すぐ全員が逃げる」レベル4に相当する気象情報が存在しない災害種別がありました。住民や自治体にとって、避難指示発令の判断タイミングが曖昧になりやすかったのです。

こうした問題を解決するため、今回の情報体系の刷新が行われました。

3つの主な変更点

変更点は大きく3つです。順番に見ていきましょう。

変更点1 すべての情報名に「レベル○」が付く

これまで「大雨警報」「土砂災害警戒情報」といった名前は、それぞれがどの警戒レベルに相当するかを別途覚えておく必要がありました。今回の体系変更から、名前そのものにレベルの数字が入ります。

  • 「大雨注意報」 → 「レベル2大雨注意報」
  • 「大雨警報」  → 「レベル3大雨警報」
  • 「大雨特別警報」→ 「レベル5大雨特別警報」

ニュースや防災アプリで通知を見た瞬間に、「今自分が取るべき行動の段階」が直感的にわかるようになります。

変更点2 【重要!】「危険警報」が新設された

今回の変更で最も重要なのが、警戒レベル4相当の新情報「危険警報」の新設です。

「レベル4大雨危険警報」「レベル4土砂災害危険警報」「レベル4高潮危険警報」といった形で発表されます。これが発表されたら、危険な場所にいる全員が避難を完了させるべき段階です。

「危険警報」が出たら全員避難

これまで「レベル4=全員が逃げる」タイミングに対応する気象情報が存在しない災害種別がありました。「危険警報」の新設により、このギャップが埋まります。自治体が「避難指示(レベル4)」を発令する判断基準としても機能します。

また、特別警報・危険警報・警報・注意報という階層が災害種別をまたいで統一されるため、「どの情報がどれほど深刻か」が視覚的・直感的にわかりやすくなりました。

変更点3 各災害の情報体系が刷新された

大雨・土砂災害・河川氾濫(洪水)・高潮の4種類について、それぞれ情報の整理が行われました。主なポイントは次のとおりです。

▼ 土砂災害情報

従来の「大雨警報(土砂災害)」と「土砂災害警戒情報」が統合・整理され、「レベル4土砂災害危険警報」として単体で発表されるようになります。発表基準もレベル4に達する予測の場合に限定されるため、情報の精度が向上します。

▼ 河川氾濫情報(洪水)

氾濫情報がレベルに対応した名前に整理されます。

  • 「氾濫危険情報」→「レベル4氾濫危険警報」
  • 「氾濫警戒情報」→「レベル3氾濫警報」
  • 「氾濫発生情報」→「レベル5氾濫特別警報」
  • 「洪水警報」「洪水注意報」→ 廃止
※河川氾濫情報は大きな川(指定河川)に限って発表されます。中小河川にお住まいの方は、「キキクル(危険度分布)」などで確認してください。

▼ 高潮情報

旧体系で「レベル4相当」だった「高潮警報」が「レベル4高潮危険警報」へと変更されます。これにより、大雨などの「危険警報」と同じ行動基準(=全員避難)で対応できるようになります。海岸沿いや大きな川の河口近くにお住まいの方は、高潮に関するハザードマップも事前に確認しておきましょう。

おまけ:「線状降水帯直前予測」も新設

今回の改正と合わせて、線状降水帯が発生する2〜3時間前を目安に発表される「気象防災速報(線状降水帯直前予測)」も運用が始まります。都道府県の北部・南部などの区域単位で通知されるため、自分の地域に近づく前に早めの準備や行動を取りやすくなります。

これまでの「顕著な大雨に関する情報(線状降水帯)」は発生後の発表でしたが、直前予測は発生前の情報です。両者は役割が異なるので、混同しないようにしてください。

変更前後の対応表

主な防災気象情報の変更前後をまとめました。「知っている名前」と「新しい名前」を照らし合わせて確認してみてください。

※今回の変更は大雨・土砂災害・河川氾濫・高潮の4種類が対象です。暴風・波浪・大雪などの警報・注意報は従来通りの名称で運用されます。

変更前(〜2026年5月下旬) 変更後(2026年5月下旬〜) 警戒Lv
◆ 大雨
大雨特別警報(浸水害) レベル5大雨特別警報 5
(該当なし) レベル4大雨危険警報 新設 4
大雨警報(浸水害) レベル3大雨警報 3
大雨注意報 レベル2大雨注意報 2
◆ 土砂災害
(該当なし)/土砂災害警戒情報 レベル4土砂災害危険警報 新設・統合 4
◆ 河川氾濫(指定河川のみ)
氾濫発生情報(○○川) レベル5氾濫特別警報(○○川) 5
氾濫危険情報(○○川) レベル4氾濫危険警報(○○川) 4
氾濫警戒情報(○○川) レベル3氾濫警報(○○川) 3
洪水警報 廃止
◆ 高潮
高潮特別警報 レベル5高潮特別警報 5
高潮警報(旧レベル4相当) レベル4高潮危険警報 4
高潮注意報(レベル2・3に分かれていた) レベル2高潮注意報(統合) 2
2026年5月29日から開始された新たな防災気象情報の表。出典:気象庁

新たな防災気象情報まとめ(画像出典:気象庁「新たな防災気象情報について(令和8年~)」)

今日からできること:情報をちゃんと受け取るための準備

名前が変わっても、情報を受け取れなければ意味がありません。以下の2点を今日確認してください。

【1】スマホの緊急速報メール設定をオンにする

今回の新情報も、レベル4・5の情報は緊急速報メールで配信されます。設定がオフになっていると届きません。

  • iPhone :設定 → 通知 → 緊急速報をオン
  • Android :設定 → 安全性と緊急情報 → 緊急速報メールをオン

【2】気象庁の「キキクル」を知っておく

大きな河川に面していない中小河川の周辺では、氾濫情報(レベル別氾濫警報)は発表されません。「キキクル(危険度分布)」は市区町村より細かい単位で危険度を色分け表示してくれるツールで、自宅周辺の状況を確認するのに役立ちます。

キキクル(危険度分布):https://www.jma.go.jp/bosai/risk/

まとめ

今回のポイント
  • 2026年5月下旬から、防災気象情報の名前と体系が大きく変わった
  • すべての情報名に「レベル○」が付くようになり、どの段階の危険かが一目でわかる
  • 最重要:「危険警報(レベル4)」が新設。全員避難のタイミングを示す気象情報が整備された
  • 洪水警報は廃止。土砂・河川・高潮の情報体系もそれぞれ整理された
  • スマホの緊急速報設定と「キキクル」の使い方を今日確認する

情報の名前が変わっても、「危険な場所から早めに逃げる」という本質は変わりません。ただ、情報の読み方が変わると「見慣れない名前だから大丈夫なんだろう」という誤解が生まれやすい過渡期でもあります。この記事をきっかけに、新しい情報の読み方を家族や周囲の方と確認してみてください。

「ちょっと防災」、今日から始めてみてください。

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サトウ先生|博士(工学) / 防災士
京都光華大学 社会学部 社会共創学科
「専門知識を、わかりやすく身近に。」これまで数々の自然災害を目の当たりにしてきた実体験をもとに、防災に関する大学での講義や地域での講演を行っている。南国出身のため雪にはとっても不慣れで、京都での最大の災難は大雪のときに滑ったことだと思っている。摩擦係数の計算は得意だが、雪道の滑りやすさは計算外だった。だが、その失敗さえも防災の教訓に変えてしまうのが私のスタイルだ。実に面白い。
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このブログは、学生や地域の皆様が防災の基本を体系的に学べる「オンライン防災教本」を目指して、本学教員である筆者の研究・教育成果に基づき作成しています。
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参考・出典
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