「うちの近くに川はないから、水害は関係ない」そう思っていませんか? 実は、大雨による浸水被害の多くは川の氾濫ではなく「内水氾濫」によるものです。
いわゆる「対岸の火事」というヤツですね。わたしの場合は小さな竜巻だったのですが、サトウが中学生の頃、運動場に竜巻ができたことがありました。少し離れたところだったので「なんかスゴいやつができたなぁ」とボーッとしてたらこっちに近づいてきて。逃げようと思ったときには手遅れ、そのまま竜巻に飲まれてしまったトルネードサトウですこんにちは。良い子は絶対に真似をしてはいけません!
関係ないと思っていたら自分が危険な目に遭う。災害も同じで、水害は川の近くだけで起きるわけではありません。むしろ都市部では「川と関係のない浸水」の方が多いくらいです。今回は内水氾濫のしくみと、自分の家のリスクの調べ方を解説します。
- 「うちの近くに川はないから水害は大丈夫」と思っている方
- 都市部・マンション住まいで水害リスクを気にしていない方
- ハザードマップを見たことがない方
水害には2種類ある:外水氾濫と内水氾濫
水害による浸水には、大きく分けて2つの種類があります。
なぜ内水氾濫が起きるのか:都市化がもたらした問題
内水氾濫が起きやすくなった背景には、「都市化」という構造的な問題があります。
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地面がアスファルト・コンクリートで覆われた 昔の地面は、雨が降ると土や草が水を吸収してくれました。しかし都市化が進むにつれて、地面はアスファルトやコンクリートで覆われていきます。これらは水を吸収しません。雨は全て地表を流れ、下水道に流れ込みます。 |
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下水道の設計が「昔の雨量」を前提にしている 下水道は通常の雨には対応できています。しかし近年多発している「記録的な大雨」「短時間強雨」:いわゆるゲリラ豪雨のような雨が降ると、下水道の処理能力を超えてしまいます。古い市街地では、下水道が整備された当時の降雨量を想定した設計になっているため、近年の豪雨に対応しきれないケースが多くあります。 |
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処理できない雨水がマンホールや道路に溢れ出す 処理しきれなかった雨水が、マンホールから噴き出したり、道路に溢れ出したりします。これが内水氾濫です。 |
データで見る内水氾濫の深刻さ
気候変動の影響で短時間強雨の頻度と強度が増している現在、内水氾濫のリスクは以前よりも高まっています。気象庁のデータによれば、1時間降水量50mm以上の短時間強雨の発生回数は、1970年代と比べて明らかな増加傾向が続いています(気象庁「短時間強雨の長期変化傾向」)。
国土交通省の調査によれば、近年の水害における浸水被害のうち相当の割合が内水氾濫によるものとされており、都市部では外水氾濫よりも内水氾濫の発生件数が多い年もあります(国土交通省「内水浸水対策の現状と課題」)。
内水氾濫が起きやすい場所の特徴
自分の家が内水氾濫リスクに該当するかどうか、以下のポイントで確認できます。
自分の家の内水氾濫リスクを調べる方法
内水氾濫のリスクは、ハザードマップで確認できます。ただし、重要な注意点があります。
「洪水ハザードマップ」だけ見て安心するのは早計です
洪水(外水氾濫)のハザードマップと、内水氾濫(雨水出水)のハザードマップは別物です。「洪水ハザードマップで問題なかった」=「内水氾濫のリスクがない」ではありません。
ステップ1:自治体の「内水ハザードマップ」を探す
お住まいの自治体が「雨水出水浸水想定区域図」や「内水ハザードマップ」を公開しているかどうかを確認してください。
京都市の場合:京都市防災ポータルサイトのハザードマップで「雨水出水(内水氾濫)浸水実績区域」を確認できます。
ステップ2:国土交通省のポータルサイトを使う
国土交通省の「ハザードマップポータルサイト」では、自治体が公開している各種ハザードマップへのリンクがまとめられています。国土地理院「重ねるハザードマップ」機能を使えば、外水氾濫と内水氾濫のリスクを重ねて確認することもできます。
ステップ3:自治体に直接問い合わせる
もし自治体が内水ハザードマップを公開していない場合は、自治体の防災担当窓口に問い合わせてみてください。
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内水氾濫から身を守るために
内水氾濫は、外水氾濫と異なり「川が氾濫した」という明確なシグナルがないまま進行します。そのため気づいたときにはすでに道路が冠水していた、というケースが多いです。
対策として最も重要なのは「早めの避難」
短時間で急激に浸水が進むため、「様子を見てから」では手遅れになりかねません。大雨警報・洪水警報が出た時点で(2026年5月以降は「危険警報」の新体系を参照)、自分のエリアのリスクを確認し、早めに行動することが求められます。
またアンダーパスや地下空間は、内水氾濫時は特に危険です。大雨の際は絶対に近づかないようにしましょう。
まとめ
- 水害には外水氾濫(川の氾濫)と内水氾濫(排水不能による浸水)の2種類がある
- 都市部の水害被害の多くは内水氾濫によるもの。川の近くでなくても起きる
- 地盤が低い・かつて湿地だった・下水道が古い地域はリスクが高い
- 地下空間は内水氾濫時に特に危険。大雨時は近づかない
- 自治体の「雨水出水浸水想定区域図」またはハザードマップポータルサイトでリスクを確認する
「川が近くにないから大丈夫」。その安心感が、命を守る行動への第一歩を遅らせているかもしれません。今日、ハザードマップを一度確認してみてください。
「ちょっと防災」、今日から始めてみてください。
このブログは、学生や地域の皆様が防災の基本を体系的に学べる「オンライン防災教本」を目指して、本学教員である筆者の研究・教育成果に基づき作成しています。
実際の災害時は現場の状況に応じた柔軟な判断が求められます。記事に含まれる情報の活用は読者の皆様の判断と責任において行っていただきますようお願い申し上げます。また、記事の内容は大学の公式な見解や推奨を意味するものではありません。なお、記事に含みうる誤りに関する一切の責任は筆者に帰属します。
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- 国土交通省「内水浸水対策の現状と課題」国土交通省水管理・国土保全局下水道部
- 国土交通省「内水氾濫に関する情報提供のあり方に関する検討会」報告書
- 国土交通省「ハザードマップポータルサイト」
- 国土地理院「重ねるハザードマップ」
- 内閣府「令和2年7月豪雨による被害状況等について」
- 気象庁「短時間強雨の長期変化傾向」
- 京都市防災ポータルサイト「ハザードマップ」
- 京都新聞「京都・伏見の淀水垂町(よどみずたれちょう)は『水が落ち合う場所』を意味する地名」(2023年9月1日)
- Schmitt, T. G., Thomas, M., & Ettrich, N. (2004). Analysis and modeling of flooding in urban drainage systems. Journal of Hydrology, 299(3–4), 300–311. https://doi.org/10.1016/j.jhydrol.2004.08.012
- Zhou, Q., Leng, G., Su, J., & Shen, Y. (2019). Comparison of urbanization and climate change impacts on urban flood volumes: Importance of urban planning and drainage adaptation. Science of The Total Environment, 658, 24–33. https://doi.org/10.1016/j.scitotenv.2018.12.184
