2026.06.15 ぼうさいらぼ

ペットの「同行避難」と「同伴避難」の違いは?災害時に備えて飼い主が今日確認すべきこと

同行避難と同伴避難の違いは?災害時に備えて飼い主が今日確認すべきこと:崩れた塀や瓦礫が残る災害現場を背景に、ヘルメットをかぶった女性と柴犬の写真。中央に「同行避難」「同伴避難」の大見出しと、「ペットの飼い主が今日確認すべきこと」のサブテキストが重ねられた記事サムネイル。

「避難するとき、ペットはどうすればいいのか」。これは災害時に多くの飼い主が直面する切実な問いです。「同行避難」という言葉はよく聞くようになりましたが、避難所でペットと一緒に過ごせるかどうかは、また別の話です。

ペット、こどもの頃に「飼ってみたいなぁ」と一度は思ったことがある方も多いのではないでしょうか。私もそのうちの一人なのですが、今となっては飼わなくて良かったと思っています。「たまごっち」って覚えてますか?わたしもやったんですけどね。まぁマメなお世話ができないんですよ。出かけるときも家に忘れてしまって、帰ったらお墓が建っていたことは数えきれないサトウですこんにちは。たまごっちキラーとはわたしのことです。

たまごっちはデジタルのキャラクターですので一緒に連れていけなくてもやり直せますが、大切な家族であるペットの場合はそうはいきません。今回は、この「ペットと一緒の避難」について、最新の指針も踏まえながら、ペットと飼い主の避難の現実を解説します。

この記事でわかること
こんな人におすすめ!
  • 犬・猫などのペットを飼っている方
  • 「ペットがいるから避難できない」と感じている方
  • ペット防災について一度も考えたことがない方

まず整理:「同行避難」と「同伴避難」は別物

ペット防災を語るうえで、まず混同されがちな2つの言葉を整理します。

同行避難
「避難する」という行動

飼い主がペットとともに、安全な場所(指定緊急避難場所や避難所等)まで一緒に移動する「行動」を指します。環境省はこの同行避難を推奨しています。

同伴避難
「避難所で過ごす」という状態

飼い主とペットが、同じ避難所の中で過ごす「状態」を指します。同行避難ができても、同伴避難ができるかどうかは、避難所ごとの受け入れ体制によって異なります。

「同行避難が推奨されているから、ペットと同じ部屋で過ごせる」というわけではありません。この違いを知らずに避難所へ向かうと、入り口で困ることになります。「ペットを連れて避難所まで来ること」と「避難所の中でペットと一緒に過ごせること」は、別の話なのです。

避難所でペットはどう扱われるのか

多くの避難所では、ペットは人間の居住スペースとは別の場所で管理されます。屋外の専用スペース、または建物内の別室など、飼い主のそばにはいられないのが現実です。

1

アレルギーや動物が苦手な人への配慮

避難所は多様な人が共同生活をする場です。動物アレルギーのある方や、動物が苦手な方も同じ空間で過ごします。すべての人に配慮する必要があるため、ペットと人の生活空間は分けられます。

2

鳴き声・においと衛生管理の問題

鳴き声やにおいは、共同生活の中で大きなストレス要因になります。また、毛の飛散や排泄物の処理など、衛生管理上の課題もあります。これらを理由に、ペットは別室・屋外で管理されるケースが多くなります。

3

「ペットと離れたくない」という飼い主の選択

「ペットと離れる」ことを嫌がる飼い主の中には、避難所に行くことを選ばない方がいます。令和6年能登半島地震でも、「ペットを置いていけない」という理由で自宅に留まったケースが報告されています。

事例から見る「同行避難の壁」

令和6年能登半島地震では、ペットと安心して同伴避難できる専用の避難所が開設された一方で、同行避難を受け入れない避難所も少なくなく、「周囲に迷惑をかけたくない」として車中泊を続けた飼い主もいました。
出典:読売新聞(2024).「雨漏りの自宅で犬と暮らす被災者「別れられない」…同行避難は「ほえると迷惑」とためらう(2024年1月18日)」

「人とペットの関係(human-animal bond)」が避難行動に与える影響について、海外の研究では、ペットへの愛着の強さが避難の遅れや、危険な場所への再突入のリスク要因になることが指摘されています(Brackenridge et al., 2012; Hall et al., 2004)。

ペットがいることを理由に避難指示が出ているのに動かないことは、飼い主自身の命を危険にさらします。避難することと、ペットへの責任を果たすことは、両立できます。そのためには事前の準備が必要なのです。

環境省では、ペットとの同行避難に関するフロー図を公開しています。ペットを飼われている方は、どの時期に、何をすべきかフロー図で事前に把握されておくことをお勧めします。

環境省が公開しているペットとの同行避難のフロー図

画像出典:環境省「災害、あなたとペットは大丈夫?人とペットの災害対策ガイドライン<一般飼い主編>」

環境省ガイドラインの最新動向

環境省は「人とペットの災害対策ガイドライン」(2018年策定)で、同行避難の推奨と避難所でのペット管理の標準化を自治体に求めています。

ポイント 1受け入れ体制の整備

ペットのいる飼い主が避難所に来ることを想定した受け入れ体制を、自治体・避難所側で整備しておくことが求められています。

ポイント 2ペット専用スペースの確保

屋外、または隔離された室内に、ペット専用の飼養スペースを確保すること。これにより、人とペットが「住み分け」をしながら同じ避難所で過ごすことが可能になります。

ポイント 3飼い主自身の責任

エサやり・排泄物の処理など、ペットの世話は飼い主自身が責任を持って行うことが基本です。「避難所に来れば誰かが世話をしてくれる」という考え方は誤りです。

ただし、このガイドラインはあくまでも「指針」であり、各自治体・各避難所がどこまで対応するかは温度差があります。自治体によっては積極的にペット対応を整備しているところもあれば、まだ体制が整っていないところもあるのが実情です。

指針はさらに改定される見通しです

2026年5月、環境省は災害時のペット避難に関する自治体向けの指針を近く改定する方針を示しました。能登半島地震で同行避難を拒否する避難所があったことを踏まえ、自治体の動物担当部局と災害対応部局の連携を強化し、役割を明確化するとともに、避難所での人とペットの「住み分け」の具体的な方法を盛り込む方向で検討が進められています。

今後の改定内容にも注目が必要です。「指針が変わった」というニュースを見たら、お住まいの自治体の対応がどう変わるのかも併せて確認してみてください。

ペットの種類によって対応が異なる

もう一点、知っておきたいのが「ペットの種類」による違いです。

犬・猫は比較的多くの避難所で受け入れが検討されていますが、爬虫類などのいわゆる「エキゾチックアニマル」は、受け入れに難色を示されることが少なくありません。

自分のペットが「その避難所で受け入れてもらえるのか」は、事前に自治体に確認しておく必要があります。

飼い主が今日確認すべき5つのこと

以下を今日中に確認・実行してください。

1 自治体のペット同行避難の方針を確認する

「〇〇市 ペット 避難」で検索するか、自治体の防災担当窓口に電話して確認します。

2 最寄りの指定避難所のペット受け入れ状況を確認する

避難所ごとに対応が異なります。自治体の指定避難所一覧でペット対応の有無を確認しましょう。

3 ペットのキャリー・ケージを準備する

避難所でのペット管理は、基本的に「ケージに入れた状態」が求められます。パニックになっても外に出られないサイズのケージを用意しておきましょう。

日頃からキャリーやケージに慣れさせておくことが、同行避難をスムーズにする近道です

4 ペットの防災セットを準備する

フード(5〜7日分)・水・常備薬・ワクチン接種証明書・ペットの写真(迷子時の対策)。これらをまとめておきます。また、避難生活が長期にわたる場合、ペットフードの支援が行われることは少ないため、自宅の備蓄庫にある程度の期間のフードを備えておくようにしましょう。

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5 「ペットを一時的に預けられる場所」を探しておく

ペット対応の避難所が近くにない場合の代替策として、動物病院・ペットホテル・知人宅なども選択肢に入れておきましょう。また、マンション等で建物に損傷がない場合など条件を満たせば、在宅避難も有効な選択肢となります。

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まとめ

今回のポイント
  • 「同行避難」(一緒に避難する「行動」)と「同伴避難」(避難所で一緒に過ごす「状態」)は別の概念
  • 環境省は同行避難を推奨しているが、避難所でのペットとの同室生活は各施設次第
  • ペットがいることを理由に避難しないのは、飼い主自身の命を危険にさらす
  • 自治体の方針・避難所の受け入れ状況を事前に確認することが最重要
  • フード・ケージ・証明書類などペットの防災セットを今日準備する

「ペットがいるから避難できない」と思い込んでいると、いざというときに命を守る行動が遅れてしまいます。事前の準備さえあれば、避難とペットへの責任は両立できます。

「ちょっと防災」、今日から始めてみてください。

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本ブログの趣旨と免責事項

このブログは、学生や地域の皆様が防災の基本を体系的に学べる「オンライン防災教本」を目指して、本学教員である筆者の研究・教育成果に基づき作成しています。
実際の災害時は現場の状況に応じた柔軟な判断が求められます。記事に含まれる情報の活用は読者の皆様の判断と責任において行っていただきますようお願い申し上げます。また、記事の内容は大学の公式な見解や推奨を意味するものではありません。なお、記事に含みうる誤りに関する一切の責任は筆者に帰属します。

参考・出典
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