4月。新しい学校、新しい職場、新しい路線。慣れない道を毎日歩いている方も多いと思います。
わたし、方向音痴ではないはずなんですけどね。「梅田の地下街」これだけは何度行っても慣れません。この出口が一番近いはずや!と思って地上に出たら、100%「えっっここどこ????」となるサトウですこんにちは。あれはわざと難易度を高くしているに違いないと睨んでいます。
梅田の地下街はさておき、通学路や通勤路などの慣れない道は、いつか慣れた道になります。そして、「いつもの道」になったとき、そこに隠れている災害リスクを見過ごしてしまうことがあるんですね。今回は「いつもの道・いつもの風景」に潜む危険について解説します。
- 今年から新しい通学路・通勤路ができた方
- 「通学中に地震が来たら」を考えたことがない方
- 外出先での被災に漠然とした不安がある方
「いつもの道」が災害時に危険になる4つのポイント
日常の通学路・通勤路は「普段歩くのに最適な道」であって、「災害時に安全な道」とは限りません。以下の4つのポイントを知っておくだけで、危険を事前に察知できます。
ポイント1|ブロック塀・古い石垣の近く
地震が来たとき、最初に危険になるのがブロック塀です。1995年の阪神・淡路大震災では、ブロック塀の倒壊は2,468箇所に上りました(総務省消防庁, 2006)。2018年6月18日に発生した大阪府北部地震では、登校途中の子どもが倒れてきたブロック塀の下敷きになってしまったことを覚えていらっしゃる方も多いと思います。特に注意が必要なのは以下のような塀です。
- 目地(ブロックのつなぎ目)にひびや欠けがある
- 鉄筋が見えている、または錆が出ている
- 傾いている・基礎部分が露出している
- 高さが1.2mを超えている(「控え壁」なしの建築基準法上の高さ上限)

「古そうだな」と感じたブロック塀の横は、地震時に歩かないようにしましょう。
ポイント2|細い路地・狭い道
幅が狭い道は、両側の建物が倒壊したとき逃げ場がなくなります。特に古い木造建築が密集している地域の細い路地は、建物が「向かい合って倒れる」ことで通路が完全に塞がれるリスクがあります。普段は近道になる細い路地でも、地震直後は広い道を選ぶ方が安全です。
ポイント3|川沿いの道・低地を通る道
川の近くを通る道は、大雨・台風による洪水・浸水のリスクがあります。地震後も、液状化(地盤が液体のように柔らかくなる現象)が起きやすいのは水辺・埋立地・かつて川だった地域です。液状化した地面はアスファルトが割れ、マンホールが浮き上がり、歩行が困難になります。
ポイント4|橋・高架下・トンネル
橋は地震で落橋するリスクがあります。また、高架下(高速道路・鉄道の下)はコンクリートの落下リスクがあり、トンネルは出入り口付近の崩落リスクがあります。地震直後はこれらのそばを避けて移動することを意識しておきましょう。
特に注意が必要な「危ない経路」を地図で確認する
自分の通学路・通勤路に上記のポイントが含まれているかどうか、以下の方法で事前に確認できます。
ハザードマップで液状化・浸水リスクを確認する
国土交通省のハザードマップポータルサイトでは、液状化リスク・洪水浸水・土砂災害リスクが地図上で確認できます。「自分の通学路がどの色のゾーンを通っているか」を確認してみてください。
地理院地図で昔の地形を調べる
国土地理院の地図では、「自分の街がかつて何だったか(田んぼ・川・海岸など)」を調べることができます。かつて水があった場所は、地震時に液状化しやすい傾向があります。
ちなみに、下の地図は国土地理院のサイトで「京都光華大学の1945年-1950年」の地図を調べてみたものです。小中高がある南校地は面影がありますが、大学側の北校地は田んぼ?畑?でした!
京都光華大学付近、1945年-1950年ごろの写真。画像出典:地理院地図(電子国土WEB)
「安全な代替ルート」を今のうちに探しておく
普段使っている道が危険になった場合、どのルートを通るか。これを事前に考えておくだけで、いざというときの判断が格段に速くなります。
いつもの通学路の近くにあるコンビニが「災害時帰宅支援ステーション」に指定されていることもあります。「今日の帰り道、一本隣の道を歩いてみる」それだけで、代替ルートの感覚が身につきます。

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今日の帰り道からできる「防災ウォーキング」
難しいことは何もありません。今日の帰り道、スマホをポケットにしまって5分間だけ、こんな目線で歩いてみてください。
| □ | 古いブロック塀はどこにあるか |
| □ | 細い路地はどこか |
| □ | 橋や高架下を通っているか |
| □ | 広くて安全そうな道はどこか |
一度意識して歩くだけで、「いざというとき避けるべき場所」が地図として頭に入ります。毎日歩く道だからこそ、「知っている」と「知らない」の差が大きく出ます。現代では下を見て歩いてしまうことが多いですが、ぜひ前や横、上など視線を動かしながらいつもの道を歩いてみてください。
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まとめ
- 「いつもの道」は「災害時に安全な道」とは限らない
- 要注意ポイント:ブロック塀・細い路地・川沿い・橋や高架下
- ハザードマップ・地理院地図で通学路・通勤路のリスクを事前確認できる
- 「一本隣の道を歩く」だけで、代替ルートの感覚が身につく
- 今日の帰り道、5分だけ「防災目線」で歩いてみる
新しい道を歩き始めた今が、「見る習慣」をつける最大のチャンスです。毎日歩くうちに景色は当たり前になっていく。当たり前になる前に、一度だけ「防災目線」で歩いてみてください。
「ちょっと防災」、今日から始めてみてください。
このブログは、学生や地域の皆様が防災の基本を体系的に学べる「オンライン防災教本」を目指して、本学教員である筆者の研究・教育成果に基づき作成しています。
実際の災害時は現場の状況に応じた柔軟な判断が求められます。記事に含まれる情報の活用は読者の皆様の判断と責任において行っていただきますようお願い申し上げます。また、記事の内容は大学の公式な見解や推奨を意味するものではありません。なお、記事に含みうる誤りに関する一切の責任は筆者に帰属します。
