「サトウです…深夜の地震で逃げようとしたら20kgの電子レンジが降ってきたとです…サトウです…」
頭の中でPeppino Gagliardi『Che vuole questa musica stasera』が流れたお兄様お姉様、平成をちゃんと生きた方ですね!
嘘のような本当の話で、一歩間違えたら今これを書いていなかったかもしれない、芸人のヒロシさんと同郷のサトウですこんにちは。最近同じ出身の学生が入学してくれて嬉しい!
私は助かりましたが、場合によっては、笑い話にできなくなるかもしれません。今回はそのような危険が多く潜む「深夜の被災」に関する解説を行います。
- 「地震対策は起きているときのことしか考えていなかった」方
- 一人暮らしで、深夜に何かあっても誰も助けてくれない状況にある方
- 夜型の生活をしている方・睡眠が深い方
深夜の地震が「特に危険」な理由
阪神・淡路大震災(1995年)の発災は1月17日の午前5時46分。多くの人が就寝中または起き上がったばかりの時間帯でした。あの地震で亡くなった方の死因のうち、約8割が家屋倒壊や家具転倒による圧死・窒息死でした(厚生省, 1996; 内閣府, 2004)。つまり「地震の揺れそのもの」ではなく、「揺れによって倒れてきたもの」に命が奪われました。

出典:厚生省大臣官房統計情報部(1996).「人口動態統計から見た阪神・淡路大震災による死亡の状況書」をもとに筆者作成
同様に、熊本地震(本震)も2016年4月16日の午前1時25分、まさに深夜に発生しました。この地震では地震によって亡くなった方(直接死)の数は阪神・淡路大震災に比べて少なかったものの、数多くの負傷者が発生しました。
深夜の地震が特に危険な理由は4つあります。
リスク要因1|暗闇
停電が重なると室内が真っ暗になります。足元に何があるかわからない状態で動くことになります。さらに、現代では視力が良くない方も多いですよね。コンタクト派の方も寝る前はメガネ。このメガネがないとしたら、真っ暗な視界がさらに深刻に感じてしまいますよね?
リスク要因2|眠気・混乱
眠りから突然覚醒した直後は、判断力・反射神経ともに著しく低下しています。「何が起きているかわからない」状態で数秒間フリーズするのは珍しくありません。
リスク要因3|裸足
昼間なら靴や厚底のスリッパを履いていますが、就寝中はほぼ素足です。地震で割れたガラスや落下した食器の破片を踏む危険が格段に高まります。
リスク要因4|一人ぼっち
家族がいれば声をかけ合えますが、一人暮らしの場合は全て自分で判断・行動しなければなりません。
最初の10秒:揺れを感じたら布団の中でやること
「揺れを感じたら素早く行動」。正しいですが、深夜の場合は少し違います。布団から飛び出すのは待ってください。
揺れを感じた瞬間にやることはひとつです。
布団はそれ自体がクッションになります。小さな落下物・ガラスの破片・天井材の剥落から頭と体を守ってくれます。揺れている間に立ち上がろうとすることの方が危険です。転倒・落下物の直撃リスクが大幅に上がります。
揺れが収まるまでは、布団の中で頭を守りながらじっとしている。これが深夜の地震における「最初の正解」です。
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布団から出る前に必ずやること:靴またはスリッパの確保
揺れが収まったら、次にやることは「立ち上がること」ではありません。
地震後の室内には、棚から落ちた食器・割れた窓ガラス・倒れた家具の破片など、目に見えない危険が散らばっています。裸足で歩いて足を切ると、その後の避難行動に大きな支障が出ます。
寝室のベッドサイドまたは布団の横に、スリッパまたは厚底の靴を置いておく習慣をつけましょう。おしゃれなルームーシューズでも、底がある程度厚ければOKです。これは今日から始められる、最も簡単で効果的な深夜の地震対策です。
次に、懐中電灯またはスマホのライトを点ける。停電している場合、室内は想像以上に暗いです。手探りで動くのは非常に危険なので、まず光を確保してから行動を始めましょう。廊下や玄関などの動線に「蓄光テープ」を貼っておくと、就寝直後であればそれが光っている可能性があるので、避難の大きな助けとなります。
ところで…

- スマホを袋などに入れ、ベッドに下げておく
- サブでもいいので、メガネは割れないようハードケースに入れて袋に入れておくとよい
- スマホは充電ケーブルにつないで飛んでいく範囲を限定する(確実ではありません)
スリッパ収納を作る予定の方は、その中にスマホやメガネを入れておくのもおすすめです。
深夜の被災で特に気をつけるべき3つのリスク
リスク1|ガラスの散乱
窓ガラス・食器・鏡など、地震の揺れで割れたガラスは室内に広範囲に飛散します。特に裸足での移動中に踏む危険が高いです。靴(またはスリッパ)の確保が最優先である理由はここにあります。
リスク2|通電火災
停電が復旧した際に、倒れた電気ストーブや損傷したコンセント周辺から出火するケースがあります。これを「通電火災」と呼びます。就寝前にストーブ・電気毛布などの電源を必ずオフにする習慣が、深夜の地震対策にもなります。長期避難の際は、ブレーカーを落としてから家を出ることも重要です。
また、地震を検知して自動的に電源を遮断する「感震ブレーカー」の設置も有効です。ご自宅のブレーカーの種類を確認してみましょう。感震ブレーカータイプでない場合は、「おもり」を取りつけることで簡易的に地震時にブレーカーを落とすグッズも売っていますので検索してみてください。
参考:総務省消防庁「地震による電気火災対策を!」
リスク3|余震
本震の後には余震が続きます。深夜に一度目の揺れで起きた後、再び揺れが来ることを想定して行動してください。「もう揺れないだろう」と油断して立ち上がった瞬間に余震に遭うのは非常に危険です。建物の外に出るまでは、余震を想定した低い姿勢での移動を心がけましょう。
「深夜の地震に備える」今日からの準備チェックリスト
| □ | ベッドサイド・布団の横にスリッパまたは靴を置く |
| □ | 枕元のスマホが飛んでいかないよう対策する |
| □ | 懐中電灯または充電式ランタンを寝室に置く |
| □ | 寝室には背の高い家具を置かない(頭側は特に注意) |
| □ | 就寝前に電気ストーブ・電気毛布などの電源を切る |
| □ | 「避難前にブレーカーを落とす」を習慣として意識しておく |
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まとめ
- 深夜の地震は「暗闇・眠気・裸足・一人」が重なる最も危険な状況
- 揺れている間は布団の中で頭を守る。立ち上がるのは揺れが収まってから
- 布団から出る前に必ず靴またはスリッパを履く
- 懐中電灯で光を確保してから動き始める
- 今夜から:枕元に靴またはスリッパ・懐中電灯を置く+スマホ対策をする
「深夜に地震が来たらどうしよう」と不安に思うより、「深夜に地震が来たときの準備を今日する」方が、はるかに有効です。今夜寝る前に、枕元に一度だけ目を向けてみてください。
「ちょっと防災」、今日から始めてみてください。
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- 厚生省大臣官房統計情報部(1996).「人口動態統計から見た阪神・淡路大震災による死亡の状況書」
- 内閣府 平成16年版防災白書「図4 阪神・淡路大震災の犠牲者8割が窒息死圧死」
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