2026.07.31 ぼうさいらぼ

【必読】令和8年熊本地震:災害関連死を防ぐ「TKB48」

今回の地震で、残念ながら35人の方が亡くなったとの報道があります(7月31日時点)。今後は、地震に関連して亡くなる方を増やさない=「災害関連死」を防ぐことがもっとも重要になります。

10年前の熊本地震では、死者全体の8割にあたる225人が「災害関連死」でした。地震そのものではなく、その後の避難生活が、命を奪う場合があります。避難生活を送っている方はもちろん、遠くから力になりたいと思っている方にも知っておいてほしい考え方を紹介します。

この記事でわかること
こんな方へ
  • 避難所・車中泊・在宅避難など、避難生活を送っている方
  • 遠方から、被災地のために何かできることを探している方
  • 避難所の運営や、支援のあり方に関わる方
シリーズ記事 一覧・まとめ
熊本県で震度7の地震:今すぐやるべきこと完全ガイド →

なぜ「災害関連死」が起きるのか

「災害関連死」とは、建物の倒壊などによる直接的な被害ではなく、避難生活の中での身体的・精神的な負担がもとで亡くなることを指します。不衛生な環境での感染症、栄養の偏り、体を動かさないことによる持病の悪化、暑さや寒さへの対応の遅れなど、原因は様々です。

「ぼうさいらぼ」の令和8年熊本地震速報記事でこれまでお伝えしてきた熱中症、エコノミークラス症候群、口腔ケアといったテーマは、すべてこの災害関連死を防ぐための内容でした(関連記事はページ下部からご確認ください)。

命を守る3つの要素「TKB48」

避難所・避難生活学会という専門家グループが、「TKB48」という言葉を提唱しています。アイドルグループの名前を連想させる、少し意外な響きですが、多くの人に覚えてもらうためにあえてこの名前がつけられました。中身は、災害関連死を防ぐための、非常に重要な考え方です。

T:トイレ

清潔で十分な数のトイレがないと、人は無意識のうちに水分や食事を控えてしまいます。これが、エコノミークラス症候群や体調不良につながります。

K:キッチン(温かい食事)

冷たく偏った食事が続くと、栄養状態が悪化し、体力や免疫力が落ちていきます。温かい食事を提供できる環境が重要です。

B:ベッド

床に直接雑魚寝をすると、ホコリや飛沫を吸い込みやすくなり感染症のリスクが上がるほか、エコノミークラス症候群の一因にもなります。簡易ベッドなどで床から離れて眠ることが望ましいとされています。

「48」は、これらを発災から48時間以内に整えることを目指す、という意味です。実際にはすぐに揃わないことも多いですが、「本来はこれが目標である」と知っておくだけでも、避難所や自宅での工夫の方向性が見えてきます。

「T」の支援が、すでに全国から届いています

実は今回、TKB48の「T(トイレ)」にあたる支援が、すでに全国から届き始めています。

大阪府(八代市へ)

7月29日、水洗式の個室トイレを備えた「トイレカー」を派遣。大阪府は、能登半島地震をきっかけにこの車両を導入しており、被災地での活動は今回が初めてでした。

石川県能登町・輪島市(熊本県へ)

2024年の能登半島地震で被災した自治体自身が、水洗トイレを備えた「トイレカー」を熊本へ派遣しました。

佐賀県(氷川町へ)、国土交通省(宇城市・美里町へ)

佐賀県もトイレトレーラー・トイレカーを氷川町に派遣。国土交通省九州地方整備局も、コンテナトイレを宇城市・美里町に派遣しています。

能登半島地震という、つい最近の教訓が、こうして具体的な形で今回の熊本を支えています。「T・K・B」は理念だけの話ではなく、実際に全国の自治体が備え、動かせるようになってきている、ということです。

今できること
避難生活を送っている方は、トイレ・食事・寝床の不便を「仕方ない」と我慢せず、避難所の運営者に伝えてください。それ以外の方は、トイレカーなどを派遣している団体への寄付が、こうした環境の改善に直結していることを、知っておいてください。
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まとめ

今回のポイント
  • 今回の地震でも、死者34人のうち25人がすでに災害関連死と確認されている
  • 災害関連死は、避難生活の中での身体的・精神的な負担が原因で起こる
  • 命を守る3要素は「T:トイレ」「K:キッチン(温かい食事)」「B:ベッド」
  • 能登半島地震の教訓を活かし、大阪府・佐賀県・石川県などから、すでに「トイレカー」が熊本に派遣されている

地震という危機を乗り越えたあとに、避難生活の中で命を落とすことがあってはなりません。トイレ・食事・寝床、この3つがきちんと整っているか、被災地にいる方も、遠くから見守る方も、一緒に気にかけていってください。

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Author

サトウ先生|博士(工学) / 防災士
京都光華大学 社会学部 社会共創学科
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このブログは、学生や地域の皆様が防災の基本を体系的に学べる「オンライン防災教本」を目指して、本学教員である筆者の研究・教育成果に基づき作成しています。
実際の災害時は現場の状況に応じた柔軟な判断が求められます。記事に含まれる情報の活用は読者の皆様の判断と責任において行っていただきますようお願い申し上げます。また、記事の内容は大学の公式な見解や推奨を意味するものではありません。なお、記事に含みうる誤りに関する一切の責任は筆者に帰属します。体調に異変を感じた場合は、我慢せずすぐに周囲や医療従事者にご相談ください。

参考・出典
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