避難所では、放送や掲示板で情報が伝えられています。ですが、その方法だけでは情報が届かない人がいます。
耳が聞こえにくい方、日本語での読み書きに不安がある方、そして、そもそも避難所にいない在宅避難の方。今、身の回りにそうした方がいないか、少し考えてみてください。
- 避難所で情報発信をする立場の方(運営者、周りにいる方)
- 耳が聞こえにくい方、目が見えにくい方、日本語に不安がある方が身近にいる方
- 在宅避難をしている方、そのご家族
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「アナウンス」「掲示」だけでは届かない人がいます
「放送」と「掲示」は、実は正反対の弱点を持っています。どちらか一方だけでは、必ず誰かに届きません。以前の記事でお伝えした「会話での情報収集やコミュニケーションに困難がある方」という視点で、具体的に見てみましょう。
館内放送が聞こえないため、「音声だけ」の連絡は届きません。文字での掲示が必要です。
紙の掲示物が見えないため、逆に「文字だけ」の連絡は届きません。音声での案内が必要です。
聞こえる・見える以前に、内容が複雑だと理解が難しいことがあります。短く具体的な言葉、絵や図が助けになります。
聞こえても見えても、掲示板のある場所まで自力で移動すること自体が難しいことがあります。
情報が「そこにある」だけでは、言語の壁があると十分に伝わりません。
共通しているのは、「情報はそこに掲示してあるから大丈夫」ではなく、情報の方から本人のところへ届ける発想が必要だということです。こうした方は、周りの状況が分からないまま、避難所の中で孤立してしまうことがあると指摘されています。
在宅避難者は、情報の入り口にすら立てないことがある
避難所にいれば、掲示板の前を通りかかることも、放送を耳にすることもあります。ですが、在宅避難をしている方は、自分から情報を取りに行かない限り、支援物資の配布や生活再建の情報が届きません。「困っていないだろう」と見過ごされやすいのは、むしろ在宅避難者の方だとも言えます。(在宅避難についてはこちらの記事もあわせてご覧ください。)
今すぐできる3つの工夫
「音声」と「文字」、両方で伝える
大切な連絡は、放送だけ、掲示だけで終わらせず、声に出して伝えることと、紙に書いて貼ることの両方を心がけてください。指示語(あれ・これ・あちら)を避け、「入口を出て右に30メートル」のように具体的に伝えると、視覚障害のある方にもより伝わりやすくなります。専門的な手話や点字でなくても、筆談やジェスチャー、短くやさしい言葉で十分伝わることがあります。
「ここにいます」と、自分から伝えておく
聴覚・視覚・知的障害のある方、日本語での会話に不安がある方は、避難所の運営者に自分の状況をあらかじめ伝えておくことをおすすめします。「声が聞こえない」「文字は見えにくい」「筆談なら分かる」と伝えておくだけで、次からの連絡がスムーズになります。
在宅避難者は、自分から情報を取りに行く
在宅避難をしている場合は、自治体の公式SNSやウェブサイトを定期的に確認する、近くの避難所や自治会に一度顔を出しておく、といった行動が助けになります。「待つ」より「取りに行く」意識に切り替えてみてください。
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まとめ
- 館内放送と紙の掲示は正反対の弱点を持ち、それぞれ届かない人がいる
- 知的障害・発達障害のある方には、情報の複雑さ自体が壁になることがある
- 肢体不自由の方は、掲示板まで移動すること自体が難しいことがある
- 在宅避難者は、自分から情報を取りに行かない限り、支援情報が届きにくい
- 大切な連絡は「音声」と「文字」の両方で、具体的な言葉で伝える
- 配慮が必要な方は、自分の状況を運営者にあらかじめ伝えておくと助けになる
情報は「そこに置いてある」だけでは、全員に届いたことにはなりません。もう一歩、相手に合わせて手渡す意識を持ってみてください。
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このブログは、学生や地域の皆様が防災の基本を体系的に学べる「オンライン防災教本」を目指して、本学教員である筆者の研究・教育成果に基づき作成しています。
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- 一般財団法人全日本ろうあ連盟「東日本大震災に関する聴覚障害者関連の情報」.
- 東京都心身障害者福祉センター「耳の不自由な方のための防災マニュアル」.
- 内閣府「災害時要援護者等の特性ごとに必要な対応について(案)」.
- 内閣府「合理的配慮等具体例データ集」.
- 事業構想オンライン「伝える側も受け取る側も、緊急避難情報は『やさしい日本語』が一番」.
