2026.05.26 ぼうさいらぼ

土砂災害の3種類:土石流・崖崩れ・地すべりの違いと警戒区域を正しく知る

土砂災害の3種類(土石流・崖崩れ・地すべり)と警戒区域・特別警戒区域の違いを解説する記事のサムネイル

土石流・崖崩れ・地すべり…この3つ、何が違うか説明できますか?発生の速さ・前兆の有無・被害範囲がまったく異なり、「逃げ方」も変わります。さらに、ハザードマップの黄色ゾーンと赤(オレンジ)ゾーンでは、建物ごと被害を受けるリスクが異なることをご存知ですか?

本学は女子大だったこともありまして、男性のサトウは大学へ入構することも大変だったんです。警備員さんに止められて…。着任当初は「なんか怪しいヤツが大学へ入ろうとしている」と警備員さんが警戒するのは、まぁ分かるんですけどね。着任から2年が経過しようとするとき、試験監督のためにスーツを着て大学へ行きました。そうしたら「あっちょっといいですか」と2年ぶりn回目の職質を食らいましたサトウですこんにちは。わたしがスーツを着るとダメだったようです。

これは、警備員さんがしっかり「大学の中」という警戒すべき区域を守っていて、「怪しいヤツ(≒サトウ)が入ろうとしている」という前兆を察知できている証拠ですね。サトウが大学に入れなくても大きな問題にはなりませんが、土砂災害を警戒しないと深刻な危険に直面することになります。今回は土砂災害の前兆を含む3つの種類と土砂災害警戒区域に関して解説を行います。

この記事でわかること
こんな人におすすめ!
  • 山沿い・丘陵地・川沿いに住んでいる方
  • ハザードマップに黄色・オレンジのゾーンがある地域にお住まいの方
  • キャンプや観光などで山やその周辺へ行く方

土砂災害の3種類

土砂災害は、発生する場所・メカニズム・スピードによって大きく3種類に分かれます。どの種類の土砂災害でも、規模によっては甚大な被害が出ることがあるので注意が必要です。

1. 土石流

山の谷や斜面上にある土砂・石・流木が、大量の水と混ざり合い、一気に下流へ流れ下る現象です。

  • 流速:時速20〜40km程度。人が走って逃げることはほぼ不可能
  • 主な前兆現象:崖から急に水が湧き出る/流木が流れてくる/川の水が急に減る(上流で何かが起きているサイン)/山全体が唸っているような「山鳴り」が起こる

2. 崖崩れ(斜面崩壊)

急な斜面の土砂が、突然崩れ落ちる現象です。

  • 流速:時速数十km以上になることもある
  • 主な前兆現象:発生が突然で前兆を捉えにくい。「斜面にひびが入る」「湧き水が濁る」「斜面から小石が落ちてくる」などが前兆として挙げられることもある

3. 地すべり

斜面の土砂が、比較的ゆっくりと動く現象です。

  • 流速:数cm〜数m/日程度のものから、突然速くなるものまで幅がある
  • 主な前兆現象:「地面のひび割れ」「斜面の盛り上がり」「地鳴り」「地面に段差ができる」などの前兆が現れることがある

3種類の比較

比較項目 土石流 崖崩れ 地すべり
速さ 速い 速い 比較的遅い
(突然速くなる場合あり)
前兆の多さ 中程度 少ない 比較的多い
被害範囲 広い 斜面直下に集中 中程度

「警戒区域」と「特別警戒区域」の違い

土砂災害ハザードマップには2種類の区域が示されています。

土砂災害警戒区域(イエローゾーン):黄色

土砂災害が発生した場合に、住民の生命または身体に危害が生じるおそれがある区域として、都道府県が指定します(土砂災害防止法第7条)。この区域では、市町村が「土砂災害ハザードマップ」を作成・公表することや、開発行為の届出が義務付けられます。「警戒が必要な区域」です。

土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン):オレンジ色(自治体によっては赤色)

警戒区域のうち、土砂災害が発生した場合に「建築物に損壊が生じ、住民に著しい危害が生じるおそれがある」区域として指定されます(土砂災害防止法第9条)。この区域では、住宅等の建築が制限されるほか、既存の施設に対する移転促進なども行われます。「より危険度が高く、建物ごと被害を受けるおそれがある区域」です。

重要なポイント

レッドゾーンにある建物は、土砂が直撃した場合に倒壊する可能性があります。「2階に上がれば大丈夫」とはならない可能性があるため、早期の水平避難(安全な場所への移動)が基本です。

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いつ・どこへ逃げるか

土砂災害の場合、特に「早期避難」が命を守るうえで最も重要です。土石流・崖崩れは発生が突然で、揺れや音に気づいてから逃げ始めても間に合わないことがあります。

避難のタイミング:警戒レベル3「高齢者等避難」の段階で動き始める

大雨・台風接近時、警戒レベル3が発令された段階で、土砂災害警戒区域・特別警戒区域にお住まいの方は避難を開始しましょう。「レベル4になってから」では遅すぎる場合があります。

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避難の方向:山・斜面から離れる方向へ

土砂災害から逃げるときは、山・斜面から離れる方向(谷から尾根側ではなく、低地側・横方向)に移動することが基本です。ただし谷筋・川沿いも土石流の通り道になるため、状況に応じた判断が必要です。

前兆現象を見逃さない

以下のような前兆が現れたら、すぐに避難を開始してください。

  • 川の水が急に濁る、流木が流れてくる
  • 山鳴りがする、地鳴りがする
  • 斜面から小石が落ちてくる
  • 湧き水や井戸水が急に濁る・量が増える
  • 地面にひび割れが生じる
  • 樹木が傾く、倒れる

まとめ

今回のポイント
  • 土砂災害には「土石流」「崖崩れ」「地すべり」の3種類がある。それぞれ速さ・前兆・被害の特徴が異なる
  • ハザードマップの黄色=警戒区域、オレンジ(赤)=特別警戒区域。後者は建物ごと被害を受けるおそれがある
  • 土砂災害は「早期避難」が最重要。警戒レベル3の段階で動き始める
  • 前兆現象(川の濁り・山鳴り・小石の落下など)を見逃さない

山の近くに住んでいる方、山の近くに観光で訪れることがある方。今日確認した知識を、ぜひ具体的な行動につなげてください。

「ちょっと防災」、今日から始めてみてください。

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サトウ先生|博士(工学) / 防災士
京都光華大学 社会学部 社会共創学科
「専門知識を、わかりやすく身近に。」これまで数々の自然災害を目の当たりにしてきた実体験をもとに、防災に関する大学での講義や地域での講演を行っている。南国出身のため雪にはとっても不慣れで、京都での最大の災難は大雪のときに滑ったことだと思っている。摩擦係数の計算は得意だが、雪道の滑りやすさは計算外だった。だが、その失敗さえも防災の教訓に変えてしまうのが私のスタイルだ。実に面白い。
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このブログは、学生や地域の皆様が防災の基本を体系的に学べる「オンライン防災教本」を目指して、本学教員である筆者の研究・教育成果に基づき作成しています。
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参考・出典
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