2026.07.31 ぼうさいらぼ

【必読】令和8年熊本地震:「DMAT」「DPAT」災害時の多職種連携

避難所や被災地で、見慣れないビブスや腕章をつけた人たちを見かけませんでしたか。

ニュースでも「DMAT」「DPAT」といった略語が飛び交っています。今回の地震でも、すでに多くの専門チームが現地入りしています。それぞれが何をする人たちなのか、整理しておきましょう。

この記事でわかること
こんな方へ
  • 避難所で色々な腕章・ビブスの人を見かけて、疑問に思った方
  • ニュースで「DMAT」「DPAT」という言葉を見て、違いが気になった方
  • 誰に何を相談すればいいか、知っておきたい方
シリーズ記事 一覧・まとめ
熊本県で震度7の地震:今すぐやるべきこと完全ガイド →

時間の経過で見る、支援チームのバトンリレー

災害医療・福祉の支援チームは、発災からの時間の経過に応じて、役割を引き継ぎながら活動しています。今回の地震でも、7月30日時点でDMATが43隊、DPATが10隊、被災地で活動していることが報告されています。

発災〜48時間程度

DMAT(医療)、DPAT(こころのケア)は、この時間を目安に被災地へ駆けつけられる機動性を持ったチームです。命に関わる救命処置や搬送が中心です。

発災から3〜4日程度(急性期〜亜急性期)

急性期の患者数が落ち着き、後方支援の体制も整ってくるこの頃から、DMATと重なるようにJMATが被災地に入り、避難所や救護所での診療を引き継いでいきます。歯科医療を担うJDATも、発災からおおむね72時間以降に活動を始めます。DHEAT(保健所支援)は、急性期から数週間〜数ヶ月にわたって活動を続けます。

避難生活が長引く中で

DWAT(福祉)、JRAT(リハビリ)、JDA-DAT(栄養)など、避難生活の中での健康維持を支えるチームが加わっていきます。

それぞれのチームが、入れ替わりながら被災地を支えている、というイメージを持っておくと、ニュースの内容も理解しやすくなります。

名称の整理:それぞれ何をするチームか

まずは一覧で全体像をつかんでください。

名称 分野 主な役割
DMAT
ディーマット
医療 発災直後、機動力を活かして駆けつけ、救命処置・トリアージ・患者搬送を担う
JMAT
ジェーマット
医療 DMATと重なるように被災地に入り、避難所・救護所での中期的な診療を担う
日赤救護班 医療 DMAT・JMATとは別系統。全国487班・約5,200人が登録し、被災地に長く寄り添う
DPAT
ディーパット
こころのケア 被災者本人はもちろん、支援にあたる自治体職員・救急隊員のメンタルケアも担う
DWAT
ディーワット(DCATとも)
福祉 高齢者・障がいのある方・子どもなど要配慮者への福祉的支援。生活機能低下や災害関連死を防ぐ
DHEAT
ディーヒート
保健所支援 保健所・県庁を後方から支える調整役。情報収集や全体調整で他チームの活動を支える
JDAT
ジェーダット
歯科 発災からおおむね72時間以降に活動。避難所での応急歯科医療・口腔衛生の指導を行う
JRAT
ジェーラット
リハビリ PT・OT・言語聴覚士など。避難生活での「生活不活発病」を防ぐ支援を行う
JDA-DAT
ジェーディーエーダット
栄養 管理栄養士などで構成。避難生活での栄養の偏りを防ぎ、個別の配慮が必要な方にも対応

それぞれの詳しい解説

医療

DMAT(ディーマット)災害派遣医療チーム

発災直後の急性期に活動する、機動力のある医療チームです。医師・看護師・業務調整員などで構成され、救命処置やトリアージ(治療の優先順位づけ)、被災地からの患者搬送を担います。48時間以内に駆けつけられる機動性が特徴ですが、実際の活動は発災から3〜4日程度続き、急性期の患者数が落ち着いてくるにつれて、少しずつ引き上げていきます。

医療

JMAT(ジェーマット)日本医師会災害医療チーム

日本医師会が組織するチームで、引き上げていくDMATと重なるように、発災から3日ほどで被災地に入り始めます。避難所や救護所での診療、持病の薬の処方など、中期的な医療支援を担います。よく似た立場のチームに、全日本病院協会が組織するAMAT(エーマット)もあります。

【7月30日時点の状況】今回の地震では、日本医師会の松本吉郎会長が7月29日の会見で、全国からのJMAT派遣について「現時点ではまだわからない」「近日中、1〜2日の様子を見て決定したい」と説明しています。福岡県・鹿児島県医師会の先遣隊はすぐに動ける体制を整えており、まずは九州ブロックでの支援を想定した段階です。

医療

日赤救護班

DMATやJMATとは別の系統で、日本赤十字社が独自に編成するチームです。全国に487班・約5,200人が登録されており(2023年3月時点)、医師・看護師などで構成されます。救護所の設置や避難所での診療のほか、被災地に長く寄り添う活動を指針としています。

こころのケア

DPAT(ディーパット)災害派遣精神医療チーム

精神科医師・看護師・業務調整員を基本とし、被災地のニーズに応じて公認心理師精神保健福祉士保健師・薬剤師なども加わって構成されます。被災者のこころのケアを行い、被災者本人だけでなく、支援にあたる自治体職員や救急隊員のメンタルケアも担当します。

福祉

DWAT(ディーワット)災害派遣福祉チーム(DCATとも)

介護福祉士保育士などの福祉専門職で構成され、避難所にいる高齢者・障がいのある方・子どもなど、要配慮者への福祉的な支援を行います。生活機能の低下や災害関連死を防ぐことが目的です。同じ役割を「DCAT」と呼ぶ地域もあり、実は2016年の熊本地震は、都道府県による公式なDCAT派遣が初めて行われた災害でもあります。

保健所支援

DHEAT(ディーヒート)災害時健康危機管理支援チーム

被災地の保健所や県庁を後方から支える、調整役のチームです。直接被災者と接することは少ないですが、情報収集や全体調整を担い、他のチームが動きやすい環境を整えています。

歯科

JDAT(ジェーダット)日本災害歯科支援チーム

歯科医師・歯科衛生士などで構成され、発災からおおむね72時間以降に活動する、比較的新しい団体です(2022年発足)。避難所での応急的な歯科医療や、口腔衛生の指導を行います。以前の記事でお伝えした「避難生活での口腔ケアが命に関わる」という内容は、まさにこのJDATが専門的に取り組んでいる分野です。

リハビリ

JRAT(ジェーラット)日本災害リハビリテーション支援

理学療法士・作業療法士言語聴覚士看護師・ケアマネジャーなど、多職種で構成され、避難生活で体を動かす機会が減ることによる「生活不活発病」を防ぐための支援を行います。以前の記事でお伝えしたエコノミークラス症候群の予防とも関わりの深い分野です。実は、2016年の熊本地震は、JRATに実際に派遣要請が出た災害のひとつでもあります。

栄養

JDA-DAT(ジェーディーエーダット)日本栄養士会災害支援チーム

管理栄養士などで構成され、避難生活での栄養の偏りを防ぐための支援を行います。高齢者や乳幼児、アレルギーのある方など、個別の配慮が必要な方への対応も担います。

このほかにも、被災地の医療ニーズと支援チームをつなぐ「災害医療コーディネーター」や、病院ごとに編成される支援ナースなど、ここで紹介しきれない団体・仕組みが数多く被災地を支えています。すべてを覚える必要はありませんが、「様々な専門家が、役割分担しながら支えている」ということだけ、知っておいてください。

避難所で見かけたら、こう見分ける

多くのチームは、ビブスや腕章にチーム名(DMAT・DPATなど)が記載されています。「体調が悪い」ならDMATやJMAT、「気持ちが落ち込んでいる、眠れない」ならDPAT、「生活面で困っている、要配慮者のことで相談したい」ならDWATというように、困りごとの内容に応じて、声をかける相手の見当をつけることができます。どのチームに声をかけていいかわからない場合は、まず目の前にいる誰かに相談してみてください。適切なチームにつないでもらえます。

今できること
体調や心のこと、生活のことで困ったときは、遠慮せず、その場にいる専門チームに声をかけてください。どのチームに聞けばいいかわからなくても大丈夫です。まずは目の前の人に相談してみましょう。
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まとめ

今回のポイント
  • 支援チームは、発災からの時間経過に応じて役割を引き継ぎながら活動している
  • 医療(DMAT・JMAT・AMAT・日赤救護班)、こころのケア(DPAT)、福祉(DWAT/DCAT)、保健所支援(DHEAT)、歯科(JDAT)、リハビリ(JRAT)、栄養(JDA-DAT)と、分野ごとにチームが分かれている
  • 今回の地震でも、DMAT43隊・DPAT10隊が実際に活動している(7月30日時点)
  • 困りごとの内容に応じて、声をかける相手の見当をつけられる

多くの専門家が、それぞれの持ち場で被災地を支えています。困ったときは、一人で抱え込まず、頼ってください。

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Author

サトウ先生|博士(工学) / 防災士
京都光華大学 社会学部 社会共創学科
本ブログの趣旨と免責事項

このブログは、学生や地域の皆様が防災の基本を体系的に学べる「オンライン防災教本」を目指して、本学教員である筆者の研究・教育成果に基づき作成しています。
実際の災害時は現場の状況に応じた柔軟な判断が求められます。記事に含まれる情報の活用は読者の皆様の判断と責任において行っていただきますようお願い申し上げます。また、記事の内容は大学の公式な見解や推奨を意味するものではありません。なお、記事に含みうる誤りに関する一切の責任は筆者に帰属します。各チームの活動状況は変化するため、必ず最新の公式発表をご確認ください。

参考・出典
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