台風は地震と違い、数日前から接近がわかる「準備できる災害」です。にもかかわらず、台風当日にスーパーへ走る人が毎年後を絶ちません。上陸の72時間前・48時間前・24時間前・直前、それぞれのタイミングで何をすべきかを整理します。
わたし、旅行でも出張でも、たとえ海外へ行こうとも荷物をパッキングするのは当日の朝なんですよね。そしてだいたい周りの人から「えっ、まだ準備してないの?」と引かれます。いやいやわたしは旅慣れてるし(ドヤ、自分の荷物なんてすぐにまとめられるし(ドヤ…と思っていたらあるときパスポートが見つからずめっちゃ焦ったサトウですこんにちは。ギリ見つかりました!
旅の準備ならギリギリでも笑い話で済みますが、「いつ・何をするか」を決めていない台風の備えは笑い話になりません。数日前から来ることがわかっているのに、なぜ多くの人が間に合わないのか。その理由と対策を、タイムライン形式で解説します。
- 毎年台風のたびに「また準備が間に合わなかった」と思う方
- 台風の備えとして何をすればいいかよくわからない方
- 梅雨・台風シーズンが来る前に一通り確認しておきたい方
台風は「準備できる大規模災害」
地震は予告なく来ます。火事も、突然起きます。しかし台風は違います。気象衛星がその発生を捉え、進路予測が数日前から発表され、接近の速度が刻々と更新されます。
これは大きなアドバンテージです。「来ることがわかっている」のだから、準備の時間があります。それを使わない理由はありません。
気象庁は台風の「予報円」(台風の中心が70%の確率で入ると予想される範囲)を5日先まで発表しています。ただし、予報円の中心に来るとは限りません。円の端でも台風の影響を受けます。「うちは予報円の外だから大丈夫」という判断は非常に危険です。
台風シーズン(6月〜10月)は毎年繰り返されます。「今年も何事もなく終わった」を続けていると、「来たときに何もできない」という状態を毎年更新することになります。
なぜ「台風当日」では手遅れなのか
台風が接近・上陸する当日には、以下のことがすでに起きています。
台風接近の報道が出た翌朝には、スーパー・コンビニの棚が空になることがあります。前日夜から買いに走っても、もう手遅れです。
窓の補強・ベランダ片付け・雨戸の確認は、風雨が強まってからでは危険で行えません。作業は24時間前までに終わらせる必要があります。
台風当日は鉄道・バスが計画運休になることがあります。「買いに行こうとしたが電車が動いていなかった」では取り返しがつきません。
行動タイムライン
気象庁の台風情報ページで、進路予想・強度・接近時刻を確認します。NHKの気象情報も合わせて確認しましょう。「台風がそれる可能性がある」という情報が出ても、準備をやめる必要はありません。準備自体は損になりません。
自宅が洪水・土砂災害の危険エリアに入っているかを確認します。台風による大雨は水害・土砂災害を引き起こします。国土交通省の「ハザードマップポータルサイト」で確認できます。
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水は1人あたり1日3リットルを目安に3日分(9リットル)。食料は温めなくても食べられるものを中心に3日分。これを72時間前の時点で確保します。「当日買う」という選択肢を今日から頭の中で消してください。
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スマートフォンのバッテリーを満充電にし、モバイルバッテリーも充電します。停電時の情報収集手段として最重要です。
植木鉢・物干し竿・自転車・ゴミ箱・室外機カバーなど、風で飛ばされる可能性があるものをすべて室内に取り込むか、固定します。物干し竿は「結んでおけば大丈夫」は間違いです。強風では支柱ごと飛びます。必ず室内へ。
雨戸やシャッターがある場合は、正常に動くことを確認しておきます。「久しぶりに動かしたら動かなかった」は台風直前では修理が間に合いません。ない場合は養生テープや段ボールで窓ガラスを内側から補強する準備をしておきます。
ベランダの排水口・側溝に落ち葉やゴミが詰まっていると、大雨のときに排水できず浸水します。事前に掃除しておきましょう。
ハザードマップで確認した避難場所まで、どの経路で行くかを再確認します。「いざとなれば」ではなく、具体的に「どこへ・どう行くか」を決めておきます。
この時点以降、外での作業は原則行いません。24時間前の時点で、屋外のすべての作業を終わらせます。
停電に備えて、すべての端末・バッテリーを満充電にします。
断水に備えて、浴槽に水を張っておきます。飲料水ではなく、トイレの水洗い用・清潔保持用として使えます。
避難が必要になった場合にすぐ持ち出せるよう、非常持ち出し袋の場所と中身を確認します。
台風接近中は外出しません。これが最大の安全対策です。「少しくらいなら」という判断が命取りになります。
気象庁のサイト・NHKの気象情報を定期的に確認します。警戒レベルの発令を見逃さないようにしましょう。緊急速報メールの設定がオンになっているかも確認してください。
台風接近中は窓や雨戸の近くに寄らないようにします。風圧で破損した場合に危険です。
「まだ大丈夫かな」と思ったとき、その感覚は正常性バイアスかもしれません。避難情報が出たら迷わず動く。風雨が強まってからの避難は非常に危険です。
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避難情報・警戒レベルを正しく理解する
台風接近中は、気象情報と並んで市区町村が発令する「避難情報」を必ず確認してください。避難情報は5段階の警戒レベルで発令されます。
「レベル5が出てから逃げる」では手遅れです
レベル5は「すでに何かが起きている」段階です。必ずレベル4(避難指示)が出るまでに避難を完了させてください。風雨が強まった状態での避難は、転倒・飛来物・冠水など二次災害の危険が高まります。
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台風情報の正しい読み方
気象庁が発表する台風情報には、いくつか押さえておきたいポイントがあります。
予報円は「台風が来る範囲」ではない
予報円は、台風の中心が70%の確率で入ると予想される範囲です。「台風がここに来る」という意味ではありません。円の外側でも強風域・暴風域に入り、大雨が降ることがあります。また、予報円の外に中心が進む可能性も30%あります。
「暴風警戒域」に注目する
台風情報では予報円の外側に「暴風警戒域」が示されます。これは、台風の中心が予報円内に進んだときに暴風域(風速25m/s以上)に入るおそれのある範囲です。この範囲内に自分の地域が含まれる場合は、予報円の外であっても警戒が必要です。
防災気象情報の体系が2026年5月に変わった
2026年5月下旬から、防災気象情報の名称にレベルの数字が付くようになりました。「レベル3大雨警報」「レベル4土砂災害危険警報」など、情報名を見ただけで取るべき行動段階がわかるようになっています。
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台風シーズン前に一度だけやっておくこと
台風のたびに毎回一から準備するのは大変です。シーズン前に一度だけ以下をやっておくと、毎回の準備が格段に楽になります。
| ☑ | 水3日分・食料3日分の備蓄を整える(ローリングストックで維持) |
| ☑ | モバイルバッテリーを購入・充電しておく |
| ☑ | ハザードマップで自宅のリスクを確認し、避難場所を決めておく |
| ☑ | 雨戸・シャッターが正常に動くか確認しておく |
| ☑ | 非常持ち出し袋を準備しておく |
これを6月(台風シーズン入り前)にやっておくだけで、台風が来るたびに「72時間前からの仕上げ作業」だけで済むようになります。
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まとめ
- 台風は数日前から予測できる「準備できる災害」。この特性を最大限活かす
- 72時間前:情報確認・食料水購入・充電 / 48時間前:屋外片付け・雨戸確認 / 24時間前:屋外作業完了・浴槽に水張り / 直前:外出せず情報確認
- 台風当日にコンビニに行くのは遅すぎる。棚は空で、外は危険
- 避難指示(レベル4)が出たら迷わず動く。レベル5を待ってはいけない
- 「まだ大丈夫かな」という感覚が正常性バイアスのサイン。早めの判断が命を守る
- 台風シーズン前に1回だけ基盤を整えておくと、毎回の準備が大幅に楽になる
「ちょっと防災」、今日から始めてみてください。
このブログは、学生や地域の皆様が防災の基本を体系的に学べる「オンライン防災教本」を目指して、本学教員である筆者の研究・教育成果に基づき作成しています。
実際の災害時は現場の状況に応じた柔軟な判断が求められます。記事に含まれる情報の活用は読者の皆様の判断と責任において行っていただきますようお願い申し上げます。また、記事の内容は大学の公式な見解や推奨を意味するものではありません。なお、記事に含みうる誤りに関する一切の責任は筆者に帰属します。
