2026.06.02 ぼうさいらぼ

台風が来てからの準備では遅い:上陸72時間前から始める行動タイムライン

雨粒のついた窓ガラス越しに傘を持つ人物のシルエットを背景にした記事サムネイル。中央に「台風の準備 終わった?」の大見出し、下部に「上陸72時間前から始める行動タイムライン」のサブタイトルが入っている。

台風は地震と違い、数日前から接近がわかる「準備できる災害」です。にもかかわらず、台風当日にスーパーへ走る人が毎年後を絶ちません。上陸の72時間前・48時間前・24時間前・直前、それぞれのタイミングで何をすべきかを整理します。

わたし、旅行でも出張でも、たとえ海外へ行こうとも荷物をパッキングするのは当日の朝なんですよね。そしてだいたい周りの人から「えっ、まだ準備してないの?」と引かれます。いやいやわたしは旅慣れてるし(ドヤ、自分の荷物なんてすぐにまとめられるし(ドヤ…と思っていたらあるときパスポートが見つからずめっちゃ焦ったサトウですこんにちは。ギリ見つかりました!

旅の準備ならギリギリでも笑い話で済みますが、「いつ・何をするか」を決めていない台風の備えは笑い話になりません。数日前から来ることがわかっているのに、なぜ多くの人が間に合わないのか。その理由と対策を、タイムライン形式で解説します。

この記事でわかること
こんな人におすすめ!
  • 毎年台風のたびに「また準備が間に合わなかった」と思う方
  • 台風の備えとして何をすればいいかよくわからない方
  • 梅雨・台風シーズンが来る前に一通り確認しておきたい方

台風は「準備できる大規模災害」

地震は予告なく来ます。火事も、突然起きます。しかし台風は違います。気象衛星がその発生を捉え、進路予測が数日前から発表され、接近の速度が刻々と更新されます。

これは大きなアドバンテージです。「来ることがわかっている」のだから、準備の時間があります。それを使わない理由はありません。

気象庁は台風の「予報円」(台風の中心が70%の確率で入ると予想される範囲)を5日先まで発表しています。ただし、予報円の中心に来るとは限りません。円の端でも台風の影響を受けます。「うちは予報円の外だから大丈夫」という判断は非常に危険です。

台風シーズン(6月〜10月)は毎年繰り返されます。「今年も何事もなく終わった」を続けていると、「来たときに何もできない」という状態を毎年更新することになります。

なぜ「台風当日」では手遅れなのか

台風が接近・上陸する当日には、以下のことがすでに起きています。

店舗の棚が空になっている

台風接近の報道が出た翌朝には、スーパー・コンビニの棚が空になることがあります。前日夜から買いに走っても、もう手遅れです。

外での作業ができない

窓の補強・ベランダ片付け・雨戸の確認は、風雨が強まってからでは危険で行えません。作業は24時間前までに終わらせる必要があります。

交通機関が止まっている

台風当日は鉄道・バスが計画運休になることがあります。「買いに行こうとしたが電車が動いていなかった」では取り返しがつきません。

行動タイムライン

72h前
情報収集
食料水確保
48h前
屋外片付け
雨戸確認
24h前
屋外作業終了
浴槽に水張り
直前〜
外出禁止
情報確認
72時間前(3日前)にやること
台風の進路予報が「自分の地域への接近が濃厚」になったタイミングで動き始めます
気象情報の確認と更新

気象庁の台風情報ページで、進路予想・強度・接近時刻を確認します。NHKの気象情報も合わせて確認しましょう。「台風がそれる可能性がある」という情報が出ても、準備をやめる必要はありません。準備自体は損になりません。

ハザードマップの確認

自宅が洪水・土砂災害の危険エリアに入っているかを確認します。台風による大雨は水害・土砂災害を引き起こします。国土交通省の「ハザードマップポータルサイト」で確認できます。

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食料・水の購入

水は1人あたり1日3リットルを目安に3日分(9リットル)。食料は温めなくても食べられるものを中心に3日分。これを72時間前の時点で確保します。「当日買う」という選択肢を今日から頭の中で消してください。

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モバイルバッテリーの充電

スマートフォンのバッテリーを満充電にし、モバイルバッテリーも充電します。停電時の情報収集手段として最重要です。

48時間前(2日前)にやること
外での作業はこの段階が実質ラストチャンスです
ベランダ・屋外の片付け

植木鉢・物干し竿・自転車・ゴミ箱・室外機カバーなど、風で飛ばされる可能性があるものをすべて室内に取り込むか、固定します。物干し竿は「結んでおけば大丈夫」は間違いです。強風では支柱ごと飛びます。必ず室内へ。

雨戸・シャッターの確認

雨戸やシャッターがある場合は、正常に動くことを確認しておきます。「久しぶりに動かしたら動かなかった」は台風直前では修理が間に合いません。ない場合は養生テープや段ボールで窓ガラスを内側から補強する準備をしておきます。

排水溝の掃除

ベランダの排水口・側溝に落ち葉やゴミが詰まっていると、大雨のときに排水できず浸水します。事前に掃除しておきましょう。

避難場所・経路の最終確認

ハザードマップで確認した避難場所まで、どの経路で行くかを再確認します。「いざとなれば」ではなく、具体的に「どこへ・どう行くか」を決めておきます。

24時間前(前日)にやること
この時点以降、外に出ることを前提にした行動はしません
外での作業の完了(締め切り)

この時点以降、外での作業は原則行いません。24時間前の時点で、屋外のすべての作業を終わらせます。

携帯・モバイルバッテリーを満充電に

停電に備えて、すべての端末・バッテリーを満充電にします。

お風呂に水を張っておく

断水に備えて、浴槽に水を張っておきます。飲料水ではなく、トイレの水洗い用・清潔保持用として使えます。

非常持ち出し袋の確認

避難が必要になった場合にすぐ持ち出せるよう、非常持ち出し袋の場所と中身を確認します。

直前〜接近中にやること
この段階では「外に出ない」が最優先です
外出を控える

台風接近中は外出しません。これが最大の安全対策です。「少しくらいなら」という判断が命取りになります。

情報の定期確認

気象庁のサイト・NHKの気象情報を定期的に確認します。警戒レベルの発令を見逃さないようにしましょう。緊急速報メールの設定がオンになっているかも確認してください。

キキクル(危険度分布):https://www.jma.go.jp/bosai/risk/
気象庁 台風情報:https://www.jma.go.jp/bosai/map.html
窓から離れる

台風接近中は窓や雨戸の近くに寄らないようにします。風圧で破損した場合に危険です。

避難判断を迷ったら早めに動く

「まだ大丈夫かな」と思ったとき、その感覚は正常性バイアスかもしれません。避難情報が出たら迷わず動く。風雨が強まってからの避難は非常に危険です。

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正常性バイアスとは何か:災害での避難時に「まだ大丈夫」が命取りになる理由

避難情報・警戒レベルを正しく理解する

台風接近中は、気象情報と並んで市区町村が発令する「避難情報」を必ず確認してください。避難情報は5段階の警戒レベルで発令されます。

警戒
Lv.5
緊急安全確保
すでに災害が発生または切迫している段階。避難所への移動は危険なため、近くの頑丈な建物の上階等に退避(緊急避難)してください。このレベルまで待ってはいけません。
警戒
Lv.4
避難指示(全員避難)
危険な場所にいる全員が避難する段階。この段階までに必ず避難を完了させてください。2026年5月からの「危険警報」はこのレベル4に対応します。
警戒
Lv.3
高齢者等避難
危険な場所にいる高齢者・障害者等は避難する段階。それ以外の方も避難の準備を始め、自らの判断で早めの避難を検討してください。
警戒
Lv.2
大雨注意報など
避難行動の確認・準備を始める段階。自力で避難が難しい高齢者・障害者等は、この段階で避難を開始することが望ましい。
警戒
Lv.1
早期注意情報
気象状況の悪化に注意。ハザードマップの確認など、災害への心構えを高める段階。

「レベル5が出てから逃げる」では手遅れです

レベル5は「すでに何かが起きている」段階です。必ずレベル4(避難指示)が出るまでに避難を完了させてください。風雨が強まった状態での避難は、転倒・飛来物・冠水など二次災害の危険が高まります。

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台風情報の正しい読み方

気象庁が発表する台風情報には、いくつか押さえておきたいポイントがあります。

予報円は「台風が来る範囲」ではない

予報円は、台風の中心が70%の確率で入ると予想される範囲です。「台風がここに来る」という意味ではありません。円の外側でも強風域・暴風域に入り、大雨が降ることがあります。また、予報円の外に中心が進む可能性も30%あります。

「暴風警戒域」に注目する

台風情報では予報円の外側に「暴風警戒域」が示されます。これは、台風の中心が予報円内に進んだときに暴風域(風速25m/s以上)に入るおそれのある範囲です。この範囲内に自分の地域が含まれる場合は、予報円の外であっても警戒が必要です。

防災気象情報の体系が2026年5月に変わった

2026年5月下旬から、防災気象情報の名称にレベルの数字が付くようになりました。「レベル3大雨警報」「レベル4土砂災害危険警報」など、情報名を見ただけで取るべき行動段階がわかるようになっています。

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台風シーズン前に一度だけやっておくこと

台風のたびに毎回一から準備するのは大変です。シーズン前に一度だけ以下をやっておくと、毎回の準備が格段に楽になります。

台風シーズン前の準備チェックリスト
水3日分・食料3日分の備蓄を整える(ローリングストックで維持)
モバイルバッテリーを購入・充電しておく
ハザードマップで自宅のリスクを確認し、避難場所を決めておく
雨戸・シャッターが正常に動くか確認しておく
非常持ち出し袋を準備しておく

これを6月(台風シーズン入り前)にやっておくだけで、台風が来るたびに「72時間前からの仕上げ作業」だけで済むようになります。

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まとめ

今回のポイント
  • 台風は数日前から予測できる「準備できる災害」。この特性を最大限活かす
  • 72時間前:情報確認・食料水購入・充電 / 48時間前:屋外片付け・雨戸確認 / 24時間前:屋外作業完了・浴槽に水張り / 直前:外出せず情報確認
  • 台風当日にコンビニに行くのは遅すぎる。棚は空で、外は危険
  • 避難指示(レベル4)が出たら迷わず動く。レベル5を待ってはいけない
  • 「まだ大丈夫かな」という感覚が正常性バイアスのサイン。早めの判断が命を守る
  • 台風シーズン前に1回だけ基盤を整えておくと、毎回の準備が大幅に楽になる

「ちょっと防災」、今日から始めてみてください。

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サトウ先生|博士(工学) / 防災士
京都光華大学 社会学部 社会共創学科
「専門知識を、わかりやすく身近に。」これまで数々の自然災害を目の当たりにしてきた実体験をもとに、防災に関する大学での講義や地域での講演を行っている。南国出身のため雪にはとっても不慣れで、京都での最大の災難は大雪のときに滑ったことだと思っている。摩擦係数の計算は得意だが、雪道の滑りやすさは計算外だった。だが、その失敗さえも防災の教訓に変えてしまうのが私のスタイルだ。実に面白い。
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このブログは、学生や地域の皆様が防災の基本を体系的に学べる「オンライン防災教本」を目指して、本学教員である筆者の研究・教育成果に基づき作成しています。
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参考・出典
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