「災害のときにいつ・何をするか」これを事前に決めておくのが「マイ・タイムライン」です。名前は聞いたことがあっても、実際に作ったことがある人はとても少ないのが現状です。
「計画的に進める」。早めに避難しましょう、備えましょうと記事をたくさん書いている私がこどもの頃に最も苦手だったことですね(笑)。夏休みの宿題なんて3日前着手は当たり前。そんな私がちょっと困ったのは中学の理科の自由研究。意外と時間がかかることがわかり愕然とした私は、「一番早く終わる」ということに全集中。とある実験を思いつき、1日でレポートを作って提出するという人間がいま研究者をしているサトウですこんにちは。研究者<「無計画の呼吸(ダメぜったい!」
こどもの頃の夏休みの宿題は計画的でなくても最後の頑張りでなんとかなりますが、目の前に災害が迫っているときに「最後の頑張り」は存在しません。当然、災害に備えた行動計画が最も重要になります。この記事では、マイ・タイムラインとは何か、そして自分専用の逃げ方を具体的にどう設計するかを手順書形式で解説します。
- 「マイ・タイムライン」という言葉は知っているが、作ったことがない方
- 大雨のたびに「どうしよう」と迷ってしまう方
- 水害リスクのある地域に住んでいる方
マイ・タイムラインとは何か
「マイ・タイムライン」とは、台風の接近や大雨による河川水位の上昇に合わせて、「いつ・何をするか」を時系列で整理した、自分専用の避難行動計画です(国土交通省)。
にもかかわらず、多くの人が大雨のたびに「どうしよう、どこに逃げようか」と、緊急時に初めて考え始めます。緊急時の判断は精度が落ちます。焦っている、情報が錯綜している、家族と連絡が取れないという状況では、正しい判断は難しいのです。
マイ・タイムラインは「緊急時に考えなくていいようにする」ための設計図です。災害行動心理学の観点からも、事前に具体的な行動計画を持つことで、緊急時の判断ミスや行動の遅れを大幅に減らせることが示されています(Lindell & Perry, 2012)。
なぜ「みんなで使う」タイムラインではなく「マイ」なのか
自治体が発令する警戒レベルは全員に向けたものですが、そこからの行動は人によって異なります。
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家族がいる場合
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一人暮らしの場合
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車を持っているかどうか、近くに高台があるかどうか、ハザードマップで浸水リスクが高いエリアかどうか。これらはすべて「自分の状況」によって変わります。だから「マイ」なのです。自分の状況に合わせた、自分専用の行動計画が必要です。
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STEP 1:自分の家のリスクを確認する
まず、ハザードマップで自宅の浸水リスクを確認します。確認すべき情報は以下の2点です。
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洪水(外水氾濫)の想定浸水深 色の濃さが浸水の深さを示しています。0.5m未満(膝下)なのか、3m以上(2階が水没する可能性)なのかによって、逃げるタイミングと逃げ先が変わります。 |
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内水氾濫リスク 川が近くなくても浸水する「内水氾濫」のリスクも確認してください。自治体の「雨水出水浸水想定区域図」で確認できます。
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STEP 2:逃げ先と経路を決める
次に、どこへ逃げるかを決めます。水害のときの逃げ先は「水害対応の指定緊急避難場所」です。地震の避難場所と同じとは限りませんので、必ず水害に対応した場所を確認してください。
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ハザードマップポータルサイトで自宅周辺の指定緊急避難場所を調べ、「水害(洪水)」に対応していることを確認します。
逃げ先が決まったら、そこまでの経路を確認します。浸水が進んだ道路は通れなくなります。自宅から逃げ先までの複数の経路を事前に把握しておきましょう。できれば実際に歩いて確認してみることをおすすめします。
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STEP 3:警戒レベル別の行動を設計する
警戒レベルの上昇に合わせて、「このタイミングでこれをする」を具体的に書き出します。以下は一例です。自分の状況に合わせて変更してください。
「そろそろ逃げようか」→ ×
「レベル3が出たら〇〇へ逃げる」→ ◯
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マイ・タイムラインは専用のシートに書き込んで作成するのもいいですし、オンラインやアプリで作成することもできます。自身や家族のライフスタイルに合わせた方法で作成するようにしましょう。
- 国土交通省「マイ・タイムライン(デジタル版)」
- 京都市防災ウェブサイト「京都市マイ・タイムライン」

京都市マイ・タイムラインの記入例。左側が水害・土砂災害用、右側が地震用。(画像出典:京都市防災ウェブサイト「マイ・タイムライン」)
STEP 4:家族・周囲と共有する
マイ・タイムラインは自分だけが持っていても意味が半減します。家族全員が同じ情報を持っていること、そして「うちはレベル3で動く」という共通認識があることが重要です。
一人暮らしの方は、離れた家族や信頼できる友人に「自分のタイムライン」を共有しておきましょう。「レベル3が出たら避難する。連絡が取れなければ〇〇にいる」と伝えておくことで、安否確認も楽になります。
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コラム:マイ・タイムラインは地震用も存在する
マイ・タイムラインをご存知の方も「水害を想定して作るものでしょ?」と認識されている方が多いです。確かにマイ・タイムラインは「進行型災害」と呼ばれている大雨や台風対策としてもっとも効果的なものですが、「突発型災害」と呼ばれる地震にも有効です。
京都市が作成しているマイ・タイムラインには「水害・土砂災害用」に加え「地震用」のマイ・タイムラインが存在します。ここでは「日頃からの備え」「地震発生」「発災から3分/30分/3時間/3日」に分けて行動が整理できるようになっています。実は、この「3」という数字は災害の世界では重要な数なのですが、それはまた別記事で紹介します。
| 日頃からの備え | 家具固定・備蓄・避難場所の確認 |
| 地震発生 | 身の安全を確保する |
| 発災から3分 | 火の確認・初動行動 |
| 発災から30分 | 周囲の状況確認・家族と合流 |
| 発災から3時間 | 安否確認・避難の判断 |
| 発災から3日 | 避難生活・支援情報の収集 |
まとめ
- マイ・タイムラインとは「いつ・何をするか」を事前に決めた自分専用の避難行動計画
- 水害は「予測できる災害」。事前に計画できるのが地震との大きな違い
- STEP1:ハザードマップでリスク確認 → STEP2:逃げ先・経路を決める → STEP3:レベル別行動を設計 → STEP4:家族・周囲と共有
- 「レベル〇〇が出たら〇〇へ逃げる」という具体的な記述が命を守る
- 水害用のマイ・タイムラインだけでなく、地震用のマイ・タイムラインも作成しておく
「ちょっと防災」、今日から始めてみてください。
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