2019.07.08

親子教室11周年記念シンポジウム「今ドキの子育て事情・子育て支援」を終えて 

2019年6月30日、カウンセリングセンター親子教室では11周年の記念シンポジウムを開きました。雨天にも関わらず参加してくださった皆様どうもありがとうございました。

第1部では徳田が「臨床心理士の子育て支援-親子教室をふりかえって」というテーマで講演しました。まず、親子教室の紹介として、親子同室で親子関係を支援する「ひかりっこ」と親子別室で行う子育て支援「こもれびスペース」とを紹介し、設定遊びと自由遊びを組み合わせた実際の流れや季節イベントなどの工夫について説明しました。親子教室での関わりの中から、主役は「親子」であること、「ダメな母親を良い母親にするのが目的ではなく、そのお母さんなりの子育てを支援する」ことが大切であることなどをお話ししました。

第2部では、「親子関係を支援する」とのテーマで、それぞれの臨床現場で活躍している親子教室元ファシリテーターに、親子教室で学んだ経験と今の現場とのつながりを中心に話してもらいました。

第4期修了生大江道子さん(こばと家庭支援センター)は「里親支援」について紹介し、アウトリーチとつなぐ仕事であること、里親特有の子育ての悩みを聞き寄り添う活動について語りました。問題が起こった時だけではなく何もない時からつながることの大切さ、なんでも話せる場をつくることが大事という言葉が印象に残りました。

第8期修了生川瀬ちひろさん(光華小学校中学校スクールカウンセラー)として、スクールカウンセラーの仕事内容と学校臨床の利点を生かした予防的かかわり方や多職種との連携などの考え方について話しました。授業参観やコンサルテーションを通じて、カウンセラーが内部性と外部性との境界および専門性と普遍性の境界に存在するという着目点について発表しました。

第6期生中野裕子さんは、高校のスクールカウンセラー、児童発達支援施設、クリニックなどの多彩な経験を通してグループや個別など様々な方法で行う支援について話しました。特に、個別カウンセリングには来られない母親であっても、支援者の書き込みに応じてノートに子どもの様子を熱心に書くようになったことや、自閉症の子どもと歌によって交流できるようになったアイディアはとても印象に残りました。

次に指定討論者の石川敬子先生(カウンセリングオフィス神戸同人社・本学非常勤講師)よりコメントをいただきました。石川先生は今の現状として臨床心理士と公認心理師という2資格を持ち当面葛藤しながら活動することになるだろうとの見方を述べられ、外部と内部をしなやかに繋ぐという視点が大切と指摘されました。また、「チーム学校」や「集団守秘義務」が言われる一方で、しっかりとした信頼関係を育むことがとても大事と話されました。またどうしても親よりも子どもの目線になって感じてしまう若手セラピストにとって、きれいごとではなく親の痛みや傷つきを知ることが大事と語られました。

フロアの皆様には、ご質問やご感想をお聞きする時間が少なく残念でしたが、アンケートを通して私たちの語らいを温かく見守って頂いたことがよく伝わってきました。本当にありがとうございました。



  徳田 仁子(2019年7月5日)