学長メッセージ

学長挨拶

新時代へ加速
―SDGsの達成とWell-Being Initiativeを目指す大学づくり―

 現在、海外では国の物質的な生産性を対象とするGDPに代わり、国民の精神的な豊かさに重点を置いた、新しい指標GDW(Gross Domestic Well-Being)が使われ始めています。日本でもその変化に応じ、2021年6月、成長戦略の一つとしてWell-Beingの推進が盛り込まれました。この成長戦略の方向性の変化には、国民一人ひとりの幸福を問い直そうとする政府の意図が読み取れます。

 Well-Beingとは、WHOの憲章における「健康」の定義をきっかけに広まった、身体だけではなく、精神面、社会面も含めた「健康」、すなわち「すべてが満たされた状態」にある事を意味する言葉です。これまでGDPのみを重要視した結果、社会的孤立、子どもの貧困、家庭の精神的・金銭的・経済的困難等の問題が解決されずに増大してしまった日本において、国民一人ひとりのWell-Beingを実現することは、今後早急に取り組むべき課題となっています。

 本学は、建学の理念である「寄り添い」の精神に基づき、このWell-Beingの実現と、昨今重要性が叫ばれるSDGsの達成とを支援できる専門職者を育成します。健康科学部では、こころと身体のケアに加え、病気の予防、福祉的支援を通じて国民一人ひとりを支援する専門職者を育成します。またキャリア形成学部では、Well-Beingの重要性を理解したうえで、AI・データサイエンス、ICTスキルを駆使して社会に貢献できる人材の育成を目指します。さらにこども教育学部では、健康科学部とも連携し、子どもを取り巻く環境を踏まえ、一人ひとりの包括的な幸せを実現する教員の養成に努めます。人間健康学群では、3つの学部連携による分野融合型のカリキュラムを通して、「社会の健康をマネジメントできる人材」を育てます。短期大学部では、学習者一人ひとりが「社会で活躍するために必要な力」(LDC:Life Design Competency)を習得することで、自分自身のWell-Beingを実現しつつ、社会で活躍することを目指します。そしてこういった社会のWell-Beingの実現を目指す教育と併せて、総合知を育む各学科共通のリベラルアーツ教育も充実させます。

 また、日本の人々の精神的な幸福をより高いステージに引き上げるためには、Well-Beingと相関関係が高い「自己決定」の指標を高める必要があります。この「自己決定」のプロセスを育むために、22年度より高等学校新学習指導要領では「総合的な探究の時間」が設けられました。本学では、こうした新しい指導要領と連動する形で、教育アプリ「ロイロノート」を各学部に統一的に導入・活用し、米国で開発された指導方法である「QFT(Question Formulation Technique):質問駆動型授業」の導入を進めています。これらはどれも新学習指導要領の趣旨である「主体的・対話的で深い学び」を育み、近年の教育テーマである「高大接続」を実質化するものです。

 さて、Well-Beingの話題から少し離れ、本学の女子大としてのアイデンティティについて考えてみたいと思います。女子大で学ぶメリットとは、いったいどのようなところにあるのでしょうか。さまざまな説が唱えられていますが、男女の脳の発達の違いという側面に着目すると、女性の脳の発達に応じた効果的な女子教育ができることは、女子大の大きな強みだと言えます。本学では、これまでに培ってきた知見をもとに、女子に親和性のある教育指導方法の開発を進めています。そして、その成果を日々の教育に導入し、指導方法をより高度なものへと進化させています。

 高い教育・研究力を備えた人材育成拠点として。人々に寄り添う地域のプラットフォーム校として。本学は人々の“健康”と“未来”を創造し支える、高いヘルスリテラシー・ICTリテラシーを備えた人材を養成し、人々が健やかな毎日を送ることができる未来社会を創り出していきます。女子大ならではの効果的な教育指導方法によって、これからの時代に求められる専門知を獲得し、広く社会貢献を目指している皆さん、本学で学んでみませんか。決して皆さんを失望させることはありません。京都光華女子大学にいらっしゃい!

京都光華女子大学 京都光華女子大学短期大学部 学長  一郷 正道
京都光華女子大学
京都光華女子大学短期大学部
学長 高見 茂