食共創研究所は、食の新たな可能性を切り拓く研究・開発拠点として2025年4月に設立しました。
現代社会において、食は単なる栄養補給や“おいしさ”だけでなく、体の機能を調整し、健康を支える重要な役割(生体調節機能)を担っています。一方で、機能性食品はまだ若い世代や日常的な食生活で十分に活用されていない現状が課題です。当研究所では、管理栄養士を目指す学生と教職員が、食品関連企業や地域企業と連携し、京都の伝統的な食文化も取り入れながら、あらゆる世代の方が美味しく楽しめる機能性食品やメニューの開発に挑戦します。
産学連携による「食」のイノベーションを通じて、一人ひとりのWell-Beingな社会の実現を目指していきます。
食共創研究所(Food-Co-Creation Research & Development Center)
取り組み例
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日清シスコ株式会社様による特別講義
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キハダの葉を使った食品の開発
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やわらか和菓子(嚥下調整食和菓子)の開発
日清シスコ株式会社様による特別講義
管理栄養士専攻3年生を対象に、日清シスコ株式会社様より特別講師をお招きし、ご講義いただきました。講義では、商品設計、品質・安全性評価など、食品開発プロセス全般に関する専門的な知識や、開発現場で重視される実際的な視点について解説いただきました。
加えて、学生はグループワークを通じて、既存製品である、シリアル等の新規利用法やレシピ開発に取り組み、栄養価・官能性等も踏まえた提案を設計。最終的に各グループが独自性あるアイデアを日清シスコ株式会社へプレゼンテーションすることで、実社会で求められる提案力や応用力の向上を図りました。
キハダの葉を使った食品の開発
株式会社大阪コロナホテルと連携し、キハダの葉を使った食品を開発しています。
キハダは古くからオウバクという生薬(漢方薬)の原料として利用されている薬木。一般的には、葉っぱの部分は使われず廃棄されてしまう部分ですが、葉酸(ビタミン)、カルシウム(ミネラル)、食物繊維など、さまざまな機能性成分が豊富に含まれていることから、スイーツを開発しました。
さらに、ノンカフェインのため、カフェインの接種制限のある幼児、妊婦、高齢者にも安心して召し上がっていただけるスイーツです。
やわらか和菓子(嚥下調整食和菓子)の開発
タカシマフードファクトリー株式会社と連携し、食べ物を飲み込む力(嚥下機能の低下)や噛む力が低下した方でも、飲み込みやすい和菓子を開発しています。
温度管理や水分調節などの工夫で柔らかくなっており、原材料は一般的な和菓子と変わらないものを使用しています。柔らかさは舌や唇でつぶせる程度の柔らかさで、一般的な和菓子と同様の形態を保っており、見た目からもおいしく食べていただける工夫がされています。
所員
食共創研究所規程
以下、食共創研究所規程より抜粋
行動指針
- 1.京都光華女子大学の発展に寄与するR&Dを行う。
- 2.産学官との共同R&Dの場とする。
- 3.共同R&Dに携わる全ての人が利益を得られる。
- 4.京の食および食文化を重視したR&Dを行う。
- 5.未来食(フードテック)を意識してR&Dを行う。
事業
本研究所は、前条の目的を達成するため、次の各号の事項を所轄する。
- 1.食品企業との食に関する共同R&D事業
- 2.地場産業育成のための地域連携共同R&D事業
- 3.学および官との包括共同R&D事業
- 4.京の食文化を意識した京の食に関する共同R&D事業
- 5.上記各事項のR&D成果の発信交流及び共有基盤の構築及び運営
その他前条の目的を達成するために必要な事業および運営
お問い合わせ先
京都光華女子大学 食共創研究所
〒615-0882 京都市右京区西京極葛野町38
聞光館3階実験室
foodco@mail.koka.ac.jp
















青山 敏明
食共創研究所 所長
健康科学部長 健康栄養学科 教授
Message
「食べること」は私たちの命を支えるために欠かせません。食品には、体に栄養を届ける「栄養供給」、おいしいと感じる楽しみである「味覚満足」、そして健康を守る「生体調節」という三つの重要な機能があります。近年は健康への関心が高まり、機能性表示食品などの健康を意識した食品が広まっていますが、若い世代や一般の方々にはその価値が十分に認知されていないという課題があります。そこで本学では、幅広い世代の方がおいしく食べられる機能性食品のレシピ開発や、食品素材の新しい利用法などの研究を行っています。また、大学生の視点を活かした提案を企業に提供することで、両者にとって有益な連携を図るとともに、京都ならではの食文化も活かしながら地域に根ざした研究開発も推進しています。さらに、光華もの忘れ・フレイルクリニックやスポーツクラブなど様々なフィールドと協力し、食品がもつ本来の健康への有用性の実証にも取り組んでいきたいと考えています。
「食共創研究所」は、Well-Beingな社会の実現を目指し、食に関する研究開発を通して社会との共創を進めていきます。