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Project

地域の子どもにとってワクワクする居場所となるように

02 Well-Beingの実現へ
光華の想い

2024年2月12日(祝)、京都光華女子大学瑞風館食堂で、
第2回「おいでよ!こうかわくわく食堂」が開催されました。
本学が掲げる「健康・未来創造キャンパス」の実現、そして、子どもの居場所づくりを
目的として本学が主催する「こども食堂」です。

子どもたちがワクワクする遊びの企画、メニューやレシピの作成、
地域への広報はすべて、有志の学生たちが行いました。

参加目標50名に対し、当日の参加者は子ども26名、大人26名の計52名。
食事の提供だけでなく、「野菜の旬」をテーマとしたクイズツアー、
野菜スタンプづくりなど、子どもたちが楽しみながら野菜に触れたり、
野菜のことを学べるような企画を実施し、参加者からとても好評でした。

「健康・未来創造キャンパス」の社会実装、
そして、学生たちの貴重な学びの場にもなっているこのプロジェクト。
スタートから開催当日までのストーリーをご紹介しましょう。

Project members

プロジェクトメンバー

  • Y.H さん

    健康科学部 健康栄養学科
    管理栄養士専攻 2年生
    企画チームリーダー

    プロフィール
  • M.T さん

    健康科学部 健康栄養学科
    管理栄養士専攻 2年生
    料理チームリーダー

    プロフィール
  • M.K さん

    健康科学部 健康栄養学科
    管理栄養士専攻 1年生
    広報チーム

    プロフィール
  • M.M さん

    健康科学部 健康栄養学科
    管理栄養士専攻 1年生
    広報チーム

    プロフィール
  • F.A さん

    看護福祉リハビリテーション学部
    福祉リハビリテーション学科
    社会福祉専攻 1年生 企画チーム

    プロフィール

01

地域交流の場、子どもの居場所づくりとして
「こども食堂プロジェクト」が始動

地域の子どもに、栄養のある食事と、みんなで一緒に食べる場を提供する「こども食堂」。貧困家庭の支援にとどまらず、地域のニーズに合わせて、全国各地で、さまざまな目的、さまざまな形態の「こども食堂」が開催されています。

本学では、新しい地域交流の場、子どもの居場所づくりとして、2023年度から「光華こども食堂プロジェクト」が始動しました。本学地域連携推進センターが主管となり、「栄養」や「福祉」について学ぶ学生たちが企画・料理・広報の各チームに分かれて準備を進め、2023年8月に第1回目を開催しました。

「どんなこども食堂にしようか?」と、コンセプトづくりから学生同士で話し合った結果、決まった名称は「おいでよ!こうかわくわく食堂」。第1回からスタッフとして参加している健康栄養学科2年生のM.Tさんは「大学の中に子どもがワクワク楽しめる場所を作れたらいいねと意見が一致しました」と振り返ります。「食事だけではなく、遊びの要素も盛り込むことにしました。子どもたちに楽しんでもらいたいし、栄養に関わる学科以外の学生もスタッフとして参加しやすくなると思ったからです」。同じく健康栄養学科2年生のY.Hさんも「大人が子どもへ食事を提供する場というより、大学生と子どもが一緒に食事をし、一緒に楽しめる機会、出会いの場にしたいと考えました」と話します。

第1回「おいでよ!こうかわくわく食堂」が実施されたのは夏休みも終わりに近い2023年8月17日(木)・18日(金)。のべ105名の親子が参加して、学生がレシピを考案・調理した食事を楽しみ、一緒に遊んで過ごしてくれました。参加者の満足度も高く、次回への期待度も100%という結果になりました。

02

2回目に向け、スタッフ全員で
子どもたちと交流できる体制へ

1回目のプロジェクトが大成功に終わり、プロジェクトメンバーは大きな達成感をおぼえながらも「もっとこうすればよかったのでは?」と、次に向けての検討を始めていました。

「各チームがそれぞれの役割をするだけでは少し物足りないなと感じたんです。例えば、調理担当のメンバーはずっと厨房で調理をしていたので、子どもたちと接する機会がほとんどありませんでした。参加者とプロジェクトメンバーの交流も大切にすることが、2回目に向けての課題だと感じました」(Y.Hさん)。

2月に決まった2回目の開催に向け、プロジェクトメンバーは、1回目の課題や改善点を踏まえ、開催当日はスタッフ全員で子どもたちと交流できる体制を作ることになりました。

03

企画・料理・広報
各チームの取り組み

第2回の開催に向け、プロジェクトメンバーがどのようなことに取り組んできたかをご紹介しましょう。企画・料理・広報の各チームにはアドバイザーの教員がいて、必要な時には相談もできるようになっています。

企画チーム 学生5名
(管理栄養士専攻2年生2名、1年生2名、
社会福祉専攻1年生1名)
アドバイザー:キャリア形成学科 金治 宏 准教授

「おいでよ!こうかわくわく食堂」の特徴は、みんなで食事ができるだけでなく、「健康・未来創造キャンパス」で学ぶ学生たちが、日ごろの学びを活かした企画を行うことです。企画チームの仕事は、自身の学びを活かした遊びの企画を考え、参加者にワクワクした気持ちで楽しんでもらえるよう当日の全体の動きを統括することでした。

今回のテーマは「食育」。食育を交えたゲームとして「野菜スタンプ」「学内クイズツアー」「箱の中の野菜はな~んだ?」の企画が生まれました。初参加の社会福祉専攻1年生F.Aさんは「子どもたちは野菜を見ることはあっても『触る』ことは少ないと思います。そこで、箱の中の野菜を触って当てるゲームをしようと考えました」と語ってくれました。

しかし、50人以上の親子を小グループに分け、それぞれを率いてキャンパス内の各地点を回りながらクイズや遊びをしていくのはとても大変なこと。「企画チームが完璧に流れを把握していなければ、他のチームのスタッフに動いてもらうことはできません、自分たちが思い描いていることを、いかに他のチームに伝えるかという点が一番苦労しました」(Y.Hさん)。本番直前は、クイズツアーで使用するグッズ制作に追われながら、当日の動きを実際にシミュレーションして微調整を繰り返し、他のチームにどう伝えるかを考えたそうです。アドバイザーの金治先生にも相談しながら、他チームのメンバーにも手伝ってもらい、子どもたちに喜んでもらえるよう、スタンプカードや「やさい名人」認定証をコツコツ作り続けました。

料理チーム 学生5名(管理栄養士専攻3年生1名、2年生4名)
アドバイザー:ライフデザイン学科
桑島 千栄 准教授

主な仕事は、子どもたちがワクワクできるような献立を考えることです。「まずはみんなでメニューのコンセプトを考えました。寒い時期だから温かいもの。野菜も食べてほしいから、子どもたちが好きなシチューに決まりました」(M.Tさん)。

食材はJA京都中央様から規格外野菜を提供いただくことになりましたが、ここで少し誤算が。「2月はもう春野菜の時期。想定していた冬野菜がほとんどなかったんです」(M.Tさん)。そこで、提供いただける材料を活かせるようにレシピを検討し直し、シチューに入れられない野菜は企画で使うなど、柔軟に工夫しました。

当日の調理は本学の学食運営業者の方にお願いし、考案したレシピと調理法について細かく打ち合わせしました。「私たちの希望と、実際の調理を想定したときにできることの間に少しギャップがあり、その部分の調整が難しかったです。ただ私たちにも『これだけは絶対にやりたい』という点があったので、アドバイザーの桑島先生に助言をもらいながら、理想と実際のギャップを詰めていきました」(M.Tさん)。

広報チーム 学生4名
(管理栄養士専攻3年生1名、1年生2名、
リカレント修了生1名)
アドバイザー:キャリア形成学科 佐藤 嘉洋 講師

プロジェクトの中で最初に動き出すのが「広報チーム」です。メニューも遊びの内容も詳細が固まっていない中、まずは場所と日程だけを掲載したポスターを制作しました。他のチームから情報が上がるたびに内容を更新したり、新たにポスターを制作したり。「野菜の食育」がテーマに決まると、野菜の断面をデザインに取り入れ、直感的に理解してもらえるよう工夫しました。

チーム全員、広報やチラシ制作の経験はありませんでしたが、アドバイザーの佐藤先生ともやりとりを重ねながら、手探りで作業を進めました。健康栄養学科1年生のM.Kさんは「子どもでも読めるようにふりがなをつけるなど、工夫することも楽しかったです」。作成したポスターは近隣の商業施設などにも掲示してもらいました。

インスタグラムによる情報発信も行いました。同じく健康栄養学科1年生のM.Mさんは「文章が長いと読んでもらえないので、絶対に伝えたいことや、注意事項だけは落とさず、あとは絵文字などを使って読みやすく工夫し、行ってみたくなるような明るい雰囲気にすることも心がけました」。さらにメディア向けのプレスリリースも作成し、広く情報の発信も行いました。

つなぎ・つなげる KOKA KYOTO

今回のプロジェクトでは、JA京都中央様から、中身の品質は規格品と同じでも市場流通の規格(サイズ・重量・色・形状など)に適合しない「規格外野菜」を無償で提供いただきました。

本学と交流のあるJA京都中央様と、規格外野菜の有効活用について課題を共有する中で、プロジェクトへの食材提供をお願いしたところ、「食品ロス削減と野菜の魅力を学ぶイベント」としての意義に賛同いただき、連携が実現したものです。

提供していただいた規格外野菜は調理に使用するだけでなく、クイズや野菜スタンプに使用する野菜として、地域の子どもたちへの食育にも役立てられました。この連携は、JA京都中央様と本学双方にとって今後につながる意義深いものとなりました。

04

「大学のキャンパスに入れる貴重な機会を
楽しみにしていました」(参加者)

開催当日は好天に恵まれ、キャンパスに楽しそうな声が響きました。首からプロジェクトメンバーが作成したカードを下げ、野菜に関するクイズに挑戦したり、根菜の断面や葉菜の葉脈を活かしたスタンプを捺したり、学生と一緒に楽しく過ごす子どもたちの声です。グループごとに学生スタッフがつき、シミュレーション通りにキャンパス内を移動したおかげで、食堂に人が集中することもありません。「思っていた以上にうまく人が分散し、混雑なく食事を提供できたので、あわててこぼしてしまうなどのトラブルもなく、安心しました」(M.Tさん)

食事のメニューは、季節を意識した冬野菜シチュー、オープンオムレツ、ロールパンです。「とても美味しい」「苦手な野菜も知らない間に食べていたようです」と子どもたちや保護者の方々から大好評。「1回目がすごく楽しかったからまた来ました」「最初は緊張していたようですが、優しいお姉さんとすぐに打ち解けて楽しんでいました」「大学のキャンパスに入れる貴重な機会だから楽しみにしていました」との感想も聞かれました。

すべてのイベントが終了し、食堂に集まった参加者は、「やさい名人」の認定証を受け取り、お互いに拍手。色とりどり、形さまざまの野菜スタンプを捺した布は今後、「おいでよ!こうかわくわく食堂」のシンボルの旗(のぼり)として使うことになりました。

05

京都光華女子大学の
「顔」になるようなプロジェクトに

プロジェクト終了直後、達成感に満ちた学生スタッフに感想を聞きました。

「子どもたちが楽しんでくれるのかが不安でしたが、一緒にクイズツアーを回ると、笑顔で『大学の中を冒険してるみたいで楽しい!』と言ってくれたのが印象的でした」(F.Aさん)

「第1回目とは違った雰囲気の中で子どもたちと関われてすごく楽しかったです。今回はレシピ担当だったので、完食してくれている姿を見て嬉しく思いました。」(M.Tさん)

「完璧に準備できた!と思って今日を迎えたのですが、想定外の質問もたくさんあり、楽しかったけれど反省点の方が多いです。でも、考えることを通してすごく成長できました。」(Y.Hさん)

「広報チームで作ったポスターを見て、たくさんの人が集まってくれたことがとても嬉しかったです。次は情報をもっとコンパクトにまとめ、見やすいものを作りたいと思います」(M.Kさん)

「全員が臨機応変に動けば効率よく進行できることを実感しました。最初照れていた子どもたちがどんどん打ちとけてくれることが嬉しかったです。告知ポスターを貼らせてくださいとコンビニにお願いしにいくのはすごく緊張しましたが、良い経験になりました」(M.Mさん)

いきいきと話すプロジェクトメンバーの様子を見ながら、アドバイザーの桑島先生は「私たちがあれこれ指導するのではなく、学生たちが自分自身で一つひとつ学びながら前に進めてきたことが素晴らしいと思います。学生の力を信じるという点で、私自身も勉強になりました」と話しました。

主管を務める地域連携推進センターの橋詰侑季マネージャーも「日々の学びが企画に反映された『京都光華女子大学生にしかできないこども食堂』が実現でき、とても良かったと思います」と充実の表情です。「地域連携の取り組みとして、このプロジェクトが『京都光華女子大学の顔』になればいいなと考えています」。

2024年度も「本学にしかできないこども食堂」を目指し、地域の子どもにとってワクワクする居場所となるようプロジェクトメンバー一丸となって取り組んでまいります。

Y.H さん

健康科学部 健康栄養学科
管理栄養士専攻 2年生
企画チームリーダー

将来、病院で働きたいという夢があり、栄養面から医療に関われることに魅力を感じて管理栄養士専攻に入学。学んだことを活かしたいとプロジェクトに参加。野外活動ボランティアに取り組んでおり、兵庫県にあるボランティア拠点で焚き火をするのが好き。パチパチ聴こえる音や、いつまでもぼーっと見ていられる時間にハマっている。

M.T さん

健康科学部 健康栄養学科
管理栄養士専攻 2年生
料理チームリーダー

人に寄り添う「食」関連の仕事を志して管理栄養士専攻に入学。自分が作った料理を多くの人に食べてもらいたいとプロジェクトに参加。手帳やノートにその日の出来事や自分の気持ちを書くのが習慣。見返すと、その時の自分の頑張りや失敗を冷静に振り返ることができ、「今の自分もいいな」と思えて心が保たれるように感じる。管理栄養士の他に、人の心と向き合う仕事にも関心を持っている。

M.K さん

健康科学部 健康栄養学科
管理栄養士専攻 1年生
広報チーム

パティシエに憧れたことがあり「食に関する仕事」を考える中で管理栄養士の仕事を知り、本学へ入学。金治先生が担当する科目「産官学連携プロジェクト」で「こども食堂」について学び、実際に訪れる経験もして、自分も関わってみたいとプロジェクトに参加。今は病院の管理栄養士を目指している。今ハマっているのは韓国アイドルと漫画。絵を描くことも好き。

M.M さん

健康科学部 健康栄養学科
管理栄養士専攻 1年生
広報チーム

家族が入院した時、入院生活のモチベーションになるような食事を作る管理栄養士さんを素敵だと感じ、管理栄養士専攻へ。「子ども」と「食」の関係に関心があることからプロジェクトに参加。今の楽しみはJ-POPや韓国アイドルのライブに行くことと、レンタカーを借りてのドライブ。将来について、今はスポーツ栄養士や栄養教諭など幅広く考えている。

F.A さん

看護福祉リハビリテーション学部
福祉リハビリテーション学科
社会福祉専攻 1年生 企画チーム

両親が携わる福祉関係の仕事に興味を持ち、資格取得に強い本学の社会福祉専攻に入学。京都市内2ヶ所の「こども食堂」でボランティアを行っているので、大学でもやってみたいとプロジェクトに参加。今、頑張っているのは、18歳の誕生日に入団した消防団の活動。最近、ホースも扱えるようになり、班長として新人教育も担当。将来、福祉職以外の職種に就くことも視野に入り始めている。

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