2016.12.21

女性キャリア開発研究センター 開設記念シンポジウムを開催しました

12月3日(土)、本学にて女性キャリア開発研究センター 開設記念シンポジウム「男女共同参画、今を生きるみんなが言いたい・訊きたい・知りたいこと ~これからを、輝きながら生きるために~」を開催しました。

本シンポジウムは、2部構成で行われ、まず一郷正道学長が開催の挨拶と趣旨を述べた後、第1部講演では、会社員として活躍しながらエッセイストとして活動されている斎藤由香氏、男女共同参画の取り組みを推進する企業で自らも子育てと管理職を両立しておられる中村 典子氏、育児休業を取得された山口 英崇氏の3名の講師をお迎えし、ご自身の家族との関わり、職場での取り組みなどを通して女性・男性の生き方や働き方についてご講演いただきました。

斎藤氏は、「どくとるマンボウ家のてんやわんや」と題し、明治時代~昭和初期という時代背景の中、当時の女性としては珍しい活動的な生き方をされた祖母の斎藤輝子氏(歌人で精神科医の斎藤茂吉氏の妻)の生き方を中心に、父 北 杜夫氏(作家)をはじめ、ご家族との逸話を愉しくお話しいただきました。またご自身の著書のタイトルでもある自称「窓際OL」が会社員として歩んでこられたご経験や育児、さらには女性が働き続けることについての課題を添えて、次の講演者につながれました。

お2人目の中村氏は、「自ら作る! ロマンを実現できる環境づくり」と題し、地元京都の洋菓子店マールブランシュで知られる㈱ロマンライフの経営サポート部 ワーク・ライフ・バランス推進プロジェクト プロジェクトリーダーの職を活かし、ご自身の子育て体験からも見えてくるさまざまな課題とその解決に取り組んでいる現況を報告いただきました。これからも「今以上に安心して子育てができる社会を目指す」ため、会社と一体となって職場環境・意識改革に取り組む姿勢を語っていただきました。

3人目に登壇いただいた㈱ワコール人事総務本部 人事部 人事企画課 人事企画担当課長の山口氏は、3人の子育て中の男性の立場から「お父さんって、どんな人?」というタイトルのもと、ご自身のご両親や子供の頃からの周りの父親・母親のイメージ、存在を振返り、現在ご自身の子育てでの日常の課題、学び、ドイツ人である義兄様との比較などをご紹介いただき、男性の育児休暇も含め会社、社会の実情を踏まえての考え方として「よく話し合い、分かり合うこと」が大切であると投げかけ、イメージとして暖かなたき火の画像を示し、この周りで手をかざして同じものを見つめて行きましょう、というメッセージで結ばれました。

第2部のパネルディスカッションでは、本センター長の加藤千恵教授がコーディネート役を務め、第1部で講演いただいた3名の講師と共に、「男性・女性が家庭を持ちながら、生き生きと働き続けることができる環境づくり」についてディスカッションを行いました。

斎藤氏は、長年勤務するサントリーHD㈱でのご経験から、「やってみなはれ」の明るい社風を紹介され、「これからの時代は、男性・女性と関係なく、みんなが働き方を考え、限られた時間内で生産性や効率を考える時代になった。子育ての問題だけでなく介護のこともある。結婚しないで生きていく人もいる。若い方々には、人生にはいろいろな困難もあるかと思うが、強い心を持ち、しなやかに、たくましく生きていってほしい」と、特に若い世代にエールを送られました。

中村氏は女性の立場から、「時代の流れと共に、働き続けたいという女性が増えてきている。女性がチャレンジできる会社作りをすることは、会社の変化や成長にも繋がるし、いろいろなタイプの人が働ける要件になっていくと実感している」と述べられました。

また、男性の立場から山口氏は、「男性による育児の量は個人のやる気や努力だけで増やせるものではない。会社としては、プライベートの充実を図ってほしい、それによって新しいアイデアが生まれたり仕事の質も高まる、というメッセージを発信している」と述べられ、それぞれのご経験を踏まえた男女共同参画の取り組みについて議論が繰り広げられました。

未来の社会づくりには男女が力を合わせることと、その環境作りが現在の課題解決のカギを握るのではないかとの課題を提供し、シンポジウムを閉会しました。来聴いただいた皆さまも、パネリストの方々の活発なディスカッションに、熱心にメモを取り聴き入っておられました。

また、シンポジウム後の交流会では、阿部敏行理事長が光華女子学園に当センターを設置した意義を来聴者に申し上げ、シンポジウムご参加への感謝の言葉を述べました。続いて藤田裕之京都市副市長に当センターの開設とシンポジウム開催へのお祝いと期待のお言葉をいただき、改めて、地域の中での本学の女子教育と当センターの役割の大きさを心にいたしました。

会場では講演者と来聴者の皆さまの輪があちこちにでき、終始和やかな雰囲気の中、意見交換が行われました。

 

当センターでは、女性のキャリア形成を支援する教育プログラムの開発とともに、卒業生を中心とした女性のキャリアの研究に取り組み、京都光華発「女性の輝く社会実現に向けた人材育成」を目指して参ります。