2018.06.11

心理学科1年生必修科目「社会心理学入門」 京都府右京警察署による連携講義を行いました

511()、心理学科1年生の必修科目「社会心理学入門(担当:竹西 正典 教授)」において京都府右京警察署から講師をお招きし、幼児の交通安全や少年の非行などについて警察官の立場から講義を行っていただきました。

本科目では、日常生活における身近な事柄を取り上げながら、社会心理学の概要とアプローチ法について、初歩的な知識を修得することを目的としています。

今回の講義では、初めに右京警察署地域課の井上 係長から幼児の交通安全について学びました。子どもがなぜ道に飛び出したり、危険な行動をしたりするのかについて、「大人のすることは危険なことであってもマネをする」「ひとつのことに注意が向くと周りのものが目に入りにくくなる傾向がある」といった精神的な特徴と「歩行速度が遅い」「視野が大人より狭い」といった身体的な特徴から解説がなされ、幼児の特性と交通行動についての理解を深めました。その後、幼児の特性に合わせた具体的な交通安全の指導法について学びました。注意すべきポイントや子どもへの伝え方など井上 係長の経験を基に話される内容はどれもリアリティーがあり、受講生たちが頷く場面が何度も見られました。

講義の中では「チャイルドビジョン」という教材を使い、子どもと同じ視野の広さを体験しました。受講生たちは、自分たちが思っている以上に子どもたちの視野が狭いことに驚いている様子でした。

次に、右京警察署生活安全課少年係の市場 係長から警察から見た少年非行の現状と健全育成についての講義がなされました。右京警察署の少年の補導・検挙件数や、「薬物事犯」や「JKビジネス」「自画撮り問題」など、どのような非行・問題が現在起こっているかの説明の後、非行に走る少年の特徴について学びました。悪いことと知りつつ、悪いことをする少年の多くは「どうせ自分なんて」と自己評価、自己有用感が低い特徴があり、それは取調べの中で、少年たちと直接話していても大いに感じると市場係長は言っておられました。非行に走らせないためには自己評価、自己有用感を高めることが大事であり、「助言よりも傾聴」「頑張れではなく頑張っているね」といった自己評価、自己有用感を高める関わり方について受講生たちは熱心に聞いている様子でした。今回の講義テーマは「少年非行」という難しいテーマでしたが、時折、市場係長からクイズが出されたりと、受講生たちは真剣に講義を聞きながらも楽しみながら受講していました。

最後に、京都府少年警察学生ボランティア「KYO-SOLEIL※」に参加している京都府立大学の学生にお話をしていただきました。非行少年の立ち直り支援の一環として、中学生に勉強を教えたり、月に1回スポーツを行うなどの活動についてのお話に、学科で学んだ知識を生かせるボランティアに興味がある学生たちは熱心に耳を傾けていました。

今回の講義では、社会心理の領域の話だけではなく、発達心理や臨床心理など幅広い心理の領域に触れられたので、受講生たちにとっては、今後4年間で自分が学びたい心理学はどのような領域なのか考えるきっかけになりました。講義を受けて、受講生たちは「警察官」や「保育士」、また「ボランティア」など今後自分たちのキャリアをどう積んでいくのかイメージすることができました。

※KYO-SOLEIL(キョウソレイユ)…いろいろな問題を抱えた子どもたちや、非行に走ってしまった子どもたちの立ち直りをサポートする京都府少年警察学生ボランティア