2019.03.25

短期大学部ライフデザイン学科 井川 啓 教授が「ユニバーサルデザイン京都フォーラム2019」にて講演を行いました

3月22日、京都市男女共同参画センターウイングス京都(京都市中京区) にて「ユニバーサルデザイン京都フォーラム2019」が開催され、本学短期大学部ライフデザイン学科 井川 啓 教授が講演を行いました。

本フォーラムは、京都市が普及に努めている「みやこユニバーサルデザイン(UD)」を市民の方々に身近に感じていただき、より一層の普及を促すことを目的として開催されたものです。井川教授は本学「ユニバーサルデザイン研究会」(※1)の顧問を務めており、「みんなにやさしいKYOTO ユニバーサルデザイン・ガイドマップ(以下、ユニバーサルデザイン・ガイドマップ)」(※2)の制作・学生指導にあたりました。

「デザインの○と×」と題した井川教授の講演は、ユニバーサルデザイン・ガイドマップを作成するきっかけとなった、京都駅の案内表示にまつわる話から始まりました。
京都駅には4社(JR東海、JR西日本、近畿日本鉄道、京都市交通局)の路線が乗り入れていますが、駅を4社で共同管理する組織・協議会等がないため、案内表示の色やアイコン等が統一されておらず、京都駅構内の全体マップも存在していませんでした。そのため、初めて京都駅を訪れた車いす利用者が京都駅を南北に横断するのに一時間かかったというエピソードもあるほどです。
「一般的に地図はたくさんの情報が載っていて便利だが、情報が多いとかえって分かりにくいこともある。だからシンプルなマップを作りたかった」「セキュリティ上の理由で図面を頂くことが出来ず、学生とともに広い京都駅構内をくまなく歩いて調査した」とマップ制作時のこだわりや制作時の苦労を述べる井川教授の話に、市民の方々は聞き入っていました。

公共の場所でのユニバーサルデザインの普及について、井川教授は、現時点ではまだまだだと指摘し「例えば点字ブロックも、ちょっとした心遣いで誰が見ても目立つように敷設されているのと、景観を優先して目立たない敷設をするのとでは全然違う。京都市内といえども、誰のためのものかを考えて敷設することが大事」と述べました。
また自身の気づきが鉄道会社を動かし、踏切に警報機が設置された実例を踏まえて「ユニバーサルデザインの考え方や視点を常に持ち、今後も自治体や企業に対して働きかけていきたい」と、身振り手振りを交え熱く語る姿に、会場からは共感の声が飛び交っていました。

井川教授はむすびに、恩師である河野鷹思氏(元・愛知県立芸術大学学長)の言葉を紹介し、デザインとは「気にしているということ」だと述べました。
「誰かが気にしているからデザインが生まれる。気になったことは言えばデザインになる。そういう意味では、すべての人がユニバーサルデザイナーだと思う。力を合わせてより良い社会にしていきましょう」と結び、講演は大きな拍手のうちに終了しました。

ユニバーサルデザイン研究会は既に発行したユニバーサルデザイン・ガイドマップvol.1(河原町・烏丸・大宮・西院 四条通編)、vol.2(京都駅とその周辺編)に続いて、vol.3の作成を計画中です。今後の活動にもぜひご注目ください。

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