2019.10.29

第3回宗教講座を開講いたしました

20191025日(金)、第3回宗教講座として、えほん館 代表 花田睦子先生を講師としてお迎えしご講演いただきました。講題は「絵本で育む豊かな心」で、実際に6冊の絵本作品を朗読いただき、絵本のすばらしさ、奥の深さを教えていただきました。聴講生は、本学学生及び教職員、一般の方々の約250名でした。

最初に先生は、私という人間を表現するのにぴったりの絵本として「うえきばちです」の朗読により自己紹介をされました。その後、断面のシルエットを見て、野菜の名前をあてる「やさいのおなか」というクイズ形式の絵本に会場の聴講生みんながチャレンジし、楽しみました。「正解を求めるのではなく、遊びながら興味を湧かせ、自然に心が動くことが大切。人間の感情は喜怒哀楽では表現できず、名前がついていないたくさんの感情を持っている。このような感情の世界に連れて行ってくれるのが絵本であり、これによって豊かな心が育まれるのである。」と説明されました。次に「のにっき」という絵本。「命の循環を絵のみで表現した作品。命の大切さを教わる絵本であるが、感じ方はそれぞれ違ってよい。」と解説。「ハリネズミと金貨」というロシアの絵本については、「共に生きる社会において、本来のお金の価値や人が寄り添って助け合いながら生きることの意味を問うもの。絵本はこどもが読むものと単純に片付けるのではない。そもそも質が高い内容であり、こども向けに読みやすくなっているだけである。」と。先生は以前、「ふくちゃんのすてきなぱんつ」という絵本を朗読した後、ある1人の高校生が言った一言が強く胸に刻まれているとし、その話をしていただきました。「絵本の朗読後、私の方に向かってきたその生徒は、「先生、失敗してもええんやんな。」と、そこで私は「ええんよ。おかわりぱんつはたくさんあるんや。」と答えた。— つまり、こういうことを学ぶことができるのが絵本である。そして絵本に年齢制限などはない。」「ねこのピート」という絵本からは、何があっても歌を歌い前向きに生きる猫のピートから元気や勇気をもらうことができる。

最後に先生はこのようにまとめられました。「絵本は、こどもから大人までの読み物、小説などの一般の書物は1人で読むことができるが、絵本は2人以上で楽しむものである。つまり、読み手と聞き手の間を介する言わば「道具」であると言える(敬意を持ってそう呼んでいる)。私はたった一冊の絵本「ペツェッティーノ」で人生が変わった。皆さんも是非、絵本はこどものものと考えずに読んでいただきたい。そして、字を読むのではなく、「絵を読む」ようにしてほしい。」と締めくくられました。

この講義を通して、絵本というものへの間違った理解に気づくことができました。今度は実際に絵本を手に取って絵を読んでみようと思います。

花田先生、すてきな講義ありがとうございました。

宗教部員