2014年度 日本の伝統美「和のテイスト」研究会

第12回 公開講演会「日本髪の結髪」~現代に生きる日本髪の魅力を学ぶ~

2015年1月28日

今回、学Booo初の企画として、「和・研」が公開講習会を開催いたしました。
テーマは「髪型に観る女性の美意識」。1月16日に女性の髪形の変遷を教室で学んだ後、1月28日(水)に、伝統美容技術協会代表・スタイリストとして第一線で活躍されている講師と、メイク・着付けのプロをお招きし、地毛による文金高島田をはじめとする「日本髪の結髪の実演」を見学しました。モデルは当「和・研」メンバーの中から1名と、短大から1名。メンバーの学生は色打掛の「文金高島田」、短大生には振袖で「おふく」という髪型の結髪を実演していただきました。
講演までに、メイクと結髪の下準備、着付けを控室でしていただきましたが、これも大変勉強になるものでした。
結髪では、両サイドの髪(鬢びん)にワッフルアイロンを使って細かなウェーブをつけられました。昔は鏝(こて)を使ったようです。髪をまとめる括り紐も「元結(もとゆい)」という和紙のもので、キリキリと絞めて結び、これも和製のにぎりバサミでカット。パチンッとハサミの音が響き、ピンと張りつめた空気になっていくのは不思議なものです。何か、これからその主人公になるんだという心の準備の“合図の音”というような。。。そういえば、先日学んだ能楽でも鬘(かずら)などを元結(もっとい)で結ぶと伺いました。結ってもらう方も、自然に背筋を伸ばし、良い緊張感が感じられたのも、日本の伝統文化ならではの世界なんだなと実感しました。

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着付けもプロの先生が、いろいろと着せてもらう側の作法とかを優しく語りかけながら進めていただき、学生モデルもすっかり着物美人に。

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会場には、メンバー、学生、教職員以外にも、外部からもお越しいただきました。また、モデルのおばあさまも、お孫さんの晴れ姿を観に駆けつけてくださいました。
実演では、髪型の歴史、京風とそれ以外の違い、髪型の種類、髢(かもじ=付け毛)、簪(かんざし)や笄(こうがい)などの小物についてなど、TPOや品位・格式、年齢などとの関係性を解説しながら進めていただき、一つひとつに感心しているうち、花嫁さんと町娘さんが完成しました。

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実演終了後には、お約束通りの撮影大会。メンバーは仲間の変身ぶりにしばし溜息でしたが、すぐにワイワイガヤガヤ。みんな間近に寄って行き、実際に髪に触って強度?!を確認してみたり、鬢付け油の香りを感じたり、ここぞとばかりに講師に質問をしたり。。。モデルの二人もしとやかに歩くお作法も、目線のおき方も、時間が経つほどに様になり、「和・研」が目指す“所作の美しさ”を体得してくれたようです。

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お越しいただいた皆さまからも、「普段見ることのできない世界を知る貴重な体験」「和の文化の素晴らしさを再確認した」などのお声をいただきました。モデルの学生も「体験させてもらえて感激、和の文化の素晴らしさがとてもよくわかった。ますます知りたくなりました。」「モデルになれて幸せ、いい記念になったし、また成人式には日本髪を結ってほしいです。」との感想を寄せてくれました。二人とも今回の体験を生かし、またさらなる学びを深めてくれることと思います。
最後に、学生のためならばと、ボランティアとしてお請けいただき、大掛かりな準備をしてご協力いただいた講師とスタッフの皆さまに、心より感謝申し上げます。
このような京都ならではの、また京都光華ならではの貴重な体験を通して、日本の伝統美への理解をさらに深めたいと思います。

第10回 伝統文化体験:能楽

2014年11月10日

今回は、「舞台芸術に観る感性(美・こころの表現)」を学ぶため「能楽」をクローズアップ、河村能舞台を訪問しました。講師は観世流能楽師の河村晴久先生。この先生は本学開学時から能楽部を指導してこられたお父様の河村晴夫先生とご一緒に、今も学生の指導に当たっておられ、しかも日本の伝統芸術・美意識を世界に発信するとともに、自国の文化・異文化理解の上に立った真の国際人育成のために世界各地で活躍されている方。サポートは先生の実妹であるキャリアセンターのMマネージャーです。
玄関から見所(客席)に入るなり、畳に手をついてのご挨拶から始まり、「和・研」の学生たちも身につけた丁寧なご挨拶を実践する機会に!!
室内なのに茅葺の屋根のある総ヒノキの能舞台に一同圧倒されて「うわぁ~」。静かな空間の中の重厚感と美しさには何の説明がなくても、すっかり感動の世界に入り込んでしまいました。
まずは能楽の歴史などのミニ講座で、能楽を大成した観阿弥・世阿弥のこと、この舞台が足利将軍の邸宅「花の御所」に位置することや、能楽がなぜ600年以上も伝承されているかなど、短い時間で凝縮した内容のお話しを聴き納得、日本人の感性や価値観などがすーっと理解できたようでした。 
続いては、舞台に上がっての型の体験。背筋を伸ばして、腰を少し落とし、あごを引き、両腕を。。。などなど、一つひとつを一生懸命に真似てみましたが、先生の「大地に向かって力をこのように」のアドバイスを訊いて、これまたなるほどと理解。姿勢(構え)、所作・動き(型)にはそれぞれ意味があり、洗練された美しさがあることも感じることができました。

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さらに普段は入れない楽屋も案内していただき、幾種類もの貴重な能面・能装束の紹介もしていただきました。能面は右目と左目が微妙に上下の角度に違えてあることで、少しうつむいたら悲しげ、少し上を向いたら晴れやかな表情になることが判り、「能面のような無表情」という表現が間違っていることも知りました。
また、豪華な西陣織の能装束を観るだけではなく、実際に着せていただき感動 !!
日本の伝統産業・文化・芸術の集大成を一気に学ぶ機会になりました。

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「また知りたいことがあれば是非いらっしゃい、案内しますよ」との先生の気さくなお言葉に、ホンモノに触れる機会があることがいかに恵まれているかを再認識しました。      
このような京都ならではの、また京都光華ならではの貴重な体験を通して、日本の伝統美への理解をさらに深めたいと思います。

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次回からは「髪型に観る女性の美意識」をテーマとして、日本髪・結髪を学びます。女性の髪形の変遷を教室で学んだ後、1月28日(水)には、伝統美容技術協会代表・スタイリストとして第一線で活躍されているプロをお招きし、地毛による文金高島田をはじめとする「日本髪の結髪の実演」を見学します。モデルは学生たちが色打掛や振袖で登場、華やかな花嫁姿をご覧いただきます。
なお、この学Boooは公開学習として、一般の方にも公開予定です。(詳細は後日HP等にてご案内) ご期待くだい !!!

 

 

第9回 着物のイロハ ~何でも訊いて、美しい着こなしと所作を身につけよう~

2014年10月26日

今回の「和・研」は着付けの先生にお越しいただき、2名の学生への美しい着付けをレクチャーしていただくとともに、着物のいろいろな知識を深めるために先生に質問をさせていただく機会にしました。
講師の先生は、京都光華中学・高等学校の卒業生で、京都光華の大先輩!! 。可愛い?後輩のためにたくさんの種類の着物や帯を持ち込んでくださり、 学生2人をモデルに、わかりやすい説明をしながら着くずれしない、ポイントを押さえた着付けの仕方をレクチャー。プロの手さばき、着物の扱いに、「なるほど~」「そうなのか~」と関心しているうちに“着物美人”が完成しました。
続いては、先生と着物のイロハをQ&A。こんなにことを訊いていいのかなというような初歩的な質問にも笑顔で丁寧に答えていただき、楽しい会話の時間はあっと言う間に過ぎました。
先生からは、「ほんとに楽しい時間でした。学生の皆さんがとても一生懸命で、やり甲斐があったし、これからも是非「日本の伝統美」に興味を持って、このような学びの場を広げて行ってほしいです。またお手伝いできることあれば何なりと。。。」との嬉しいお言葉をいただきました。
みんな、ますます頑張りましょう!!

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第8回 和菓子に学ぶ日本の感性

2014年10月17日

今回はいよいよ学外へ。京都の伝統美を訪ね、京菓子の老舗「鶴屋吉信」さんで、和菓子制作の見学に行きました。
お店の2階にある「菓遊茶屋」に入った途端、落ち着きのある琴の調べと、何ともいえない静かな雰囲気に迎えられ、一瞬の内に「日本の伝統美」の世界に引き込まれ、
皆なんとなく“お上品な”立ち居振る舞いなったようでした。

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カウンター越しに職人の方から和菓子の「意匠」「季節感」「吉祥」などについての説明と、目の前で和菓子作りの工程を見せていただき、見事に美しいお菓子にでき上がっていくその技術の素晴らしさ、美しさに感動しました。また、職人の方たちの和菓子への深い愛情を知り、これからは小さなお菓子一つひとつに込められた職人さんの思いを感じて食したいと思いました。

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き上がったお菓子とお抹茶をおいしくいただき、心静かなひと時に、また一つ和の文化の素晴らしさを学ぶことができました。

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第6回目 婚礼衣装のイロハ ~晴れの衣装って素晴らしい~

2014年7月11日

今回は婚礼衣装の着付けの見学です。

会場の和室には、「たとう紙(帖紙・畳紙)」の上に打掛、掛下などのきものと帯以外にも小物がずらりと並び、婚礼衣装の格式と華やかさが伝わってきます。婚礼衣装は重厚な衣装を重ね着して、帯を胸高に結ぶので、肌着の上に補正用の小物を使ってきっちりと着付けること、下準備が重要であることもよくわかりました。着付ける人も着付けられる人も結構力仕事、足を踏ん張って「締めますよ」「はい」と息を合わせて進んでいきます。これもただ、力任せに雁字搦め(がんじがらめ)の”ぐるぐる巻き”にするのではなく、力加減と締め方のポイントがあり、先生の手さばき、動きを観て納得しました。普段の和装では使うことのない筥迫(はこせこ)・懐剣・抱え帯など、花嫁さんの装束ならではの小物についても謂れや着装の仕方などを解説してもらい、大いに勉強になりました。

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着付けのモデルさんも在学生でしたので、着付けが終わったころには花嫁さん(?!)を囲んで和気藹々、みんなで写メ大会になっていました。資料を読むと、婚礼衣装の推移を通して日本の社会情勢、価値観など、その時々の時代背景による文化が視えてきます。これらの知識もしっかりと学び、現代に受け継がれる日本の伝統美を理解して、教養と高め、美意識を磨いてほしいと思います。なお、次回からは「ホンモノを観る」ために、さまざまな場所へいざない、見聞を深めます。また、能楽・歌舞伎・文楽などの舞台芸術に触れ、装い(装束・面(おもて)・化粧など)、型(所作)、ことば(謡・セリフ・語り・地謡など)・音楽(笛・小鼓・大鼓・太鼓・三味線など)を鑑賞したり、芸術・工芸品の展覧会見学会、お茶会などへの参加も計画中です。また、普段は見られない日本髪の結髪、婚礼衣裳他の着付けを第一線で活躍されているプロの方(TABA:伝統美容技術協会代表)に、解説・実演していただく予定です。

せっかくの機会、モデルは学Booo「和・研」のメンバーがつとめます。メンバー以外の在学生の見学も可ですので、興味のある方は後日、学内の案内をご覧ください。

「和・研」は後期からの参加も大歓迎、在学生の皆さんは、是非!!

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