2018年度 日本の伝統美「和のテイスト」研究会

女性の和服の決まりごとと個性の活かし方、美しく着付ける基本を学びました。

2019年2月27日

長い歴史を経て、洗練されてきた日本の和服の「晴(ハレ)」と「褻(け)日常・普段」をどんな時にどんな組み合わせで着装するのか、基本的なお話をした後、自身の着物と帯を使って一人で着付けられるように稽古を始めました。

当日までに、着装のために必要な小物は揃っているかをあらかじめ打ち合わせ、足りないものは大学の備品と講師の着物を借りました。
便利に加工した小物は極力使わず、シンプルに腰紐を3本を使って着付ける方法で、締め付けず、着くずれしない着方を体験してもらいました。

 

浴衣を稽古しただけのメンバーですので、何をどう持つやら、どこをどう引っ張るやら最初は悪戦苦闘でしたが、少しづつ、何回もやり直しているうちに扱いも慣れ、めでたく一人での着付けが完成しました。
着丈、おはしょり、帯締めなど、細かな改善点はあるものの、初めてとは思えないとても立派な出来栄えです!!

 

 

 

 

 

和服は腰紐1本で背の高い人でも、華奢な人でも着られるフリーサイズの優れた衣服で、しかも直線の裁断縫製なので畳めばピタッと長方形にコンパクトに収まり、持ち運びもかさ張りません。そんな便利さもあることをも、気づいてもらえたようでした。
また、和服の生地、織、柄には日本ならではの四季の移ろいがあり、意匠(デザイン)においても、見事に表現されています。

 

日本の人たちが国際的な活躍をされている現代、格式と気品があり、かつダイナミックな装いである和服は、世界のどんな晴やかな席でも、憧れと注目を集め続けています。
日本の美意識を表現できる和服の素晴らしさをしっかりと学び、正しい知識のうえに、自身の個性とセンスを活かす美しい着こなしを習得してほしいと思います。

 

心静かに「書」の素晴らしさを体験しました。   

2019年1月22日

小筆での「書」の学Boooがスタート、まずは「書」を学ぶためのイロハとして文房四宝(筆・墨・硯・紙)についての説明と運筆の確認をしていよいよ稽古、姿勢、筆の持ち方、力の入れ方等々、基礎基本が大切ですので、背筋を伸ばして「美しいたたずまい」で取組みました。

 

一つ目の課題として姓名を楷書の漢字で稽古しましたが、改めて一文字ひともじに学ぶ要素がたくさんあることを実感しました。
特に、それぞれに願いを込めて付けてもらった「なまえ」を丁寧に書くことは、自分自身を大切にすることでもあり、ちょっと深く言えば親御さんをはじめそのなまえを付けてくださった方への感謝を新たにすることでもあります。
社会に出たら人前で、また手紙や手続きの署名などで自分の姓名を書く機会も多くなります。
筆で書くことに親しんでおくと、ペンでも美しく書けるので、できるだけ機会を見つけて筆を持ってほしいと思います。









さらに仮名の稽古へと進み、テキストにある和歌などを鑑賞し、優雅、流麗な「やまともじ」に日本の美を感じながらお手本を臨書、メンバーは、夕方の教室で一日の終わりを墨の香りと静寂の中で、心静かに書に向き合っていました。

 

















今回も配布した紙は、校門横に掲げている伝道掲示板の「今月のことば」の書き損じの和紙です。余白部分でも十分に稽古ができるので、手間をかけて作られている和紙を大事に使い切りました。道具を大切に扱うこと、紙をはじめモノを無駄なく使うことも「ありがとう」いうこころの美しさにつながります。

 

これからも「書」を通して、素晴らしい「和のこころ」も学んでいきましょう。

次回は、着物を自分で着付けることを学びます。

本学が所有する貴重な「王朝衣装(十二単衣・直衣)」を使っての着装研究が始まりました。 

2018年7月27日

今回からいよいよ「王朝衣装」の学びを始めました。

本学では「王朝衣装」として、奈良・平安時代以降の公家の女性の晴れ装束である「女房装束」と、公家の男性の正装「束帯(そくたい)装束」、常着「直衣(のうし)装束」を所蔵しています。

昭和56年、京都の大学ならではのホンモノの装束をと当時の短期大学家政科 故野上俊子名誉教授が中心となり、日本の風俗史の第一人者 江馬務先生の監修のもと、葵祭をはじめとする装束の制作をされているを黒田装束店で誂えたものです。装束はもちろん、烏帽子・檜扇・襪(しとうず:後世の足袋)などすべて有職故実(ゆうそくこじつ)に則った大変貴重なものです。この装束は長年、学生の授業と併せて一般の皆さまにも着装の講座として公開して参りましたが、将来、衣紋者(えもんじゃ: 着付けをする人)の後継者を養成するためにも、当「学Booo」メンバーと教職員が勉強をしていくことにいたしました。

 

今回は、本学園伝統文化教育で長年ご縁のある先生を特別講師にお迎えし、まずは学生を「お方さま」(着装してもらう人)に、職員に衣紋者の所作や着付けの仕方をご指導いただきました。

装束を畳紙(たとうがみ・たとうし:敷紙のこと)から取り出し、着装する順を確認しながら重ねて置く準備がてきて一同、ホッ。いよいよ着付けの稽古のはじまりです。小袖、続いて緋色の長袴で一般には既婚者の色、未婚者が濃き色(濃い紫)と訊きました。すべて意味があり、約束事が守られています。

続いて単衣、ここからは衣紋紐2本のみで着付けていきます。襟もとが動かないように抑えつつ、右袖から袖口を持って袖を伸ばし、前方がお方さまの右手を袖へ、続いて左。前方が衣紋襞(箱ひだ)をとって襟を打ち合わせて胸の上の方から沿わせて衣紋紐を当て後方に回し、背中心で交差して前に来て結ぶ、後方も衣紋襞をとって形を整える。次の装束を重ねて同じ動作を繰り返し、前方は先に結んだ衣紋紐を引き抜く。。。この繰り返しで打衣(うちぎぬ)→表着(うわぎ)まで着付けていきます。単衣・五衣(いつつぎぬ)とも呼ぶ袿(うちぎ)・打衣・表着までの合計8枚がこの着付け方です。

 

まずは薄萌黄色(うすもえぎいろ)の単衣を着し、次がいよいよ袿(うちぎ)、いわゆる五衣(いつつぎぬ)です。「山吹匂襲(やまぶきのにおいがさね)」という襲色目、黄色というより優しい桃色と朱色の間のような色合いの濃淡で、薄い色から濃い色へと重ね着していき、襟・袖・裾に美しいグラデーションができ上がっていきます。袿の山吹の花の色の下に、控え目に見える単衣の葉の色、これこそ日本人の繊細な美意識と実感。。。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一番上に着するのは色も鮮やかな蘇芳色(裏は縹色の板引き)の唐衣、最後に裳を着し、小腰という紐を前で結んで、すべての装束を固定することになります。懐紙を懐中し、檜扇を持って完了、衣紋者はお方さまに礼をして終了です。

礼に始まり、礼に終わる和の文化を体験し、姿勢も正しく清々しい時間を過ごせました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

本学には、触れる機会さえ得難い貴重な王朝装束を実際に着付けて学ぶという恵まれた環境があります。
歴史・文化・服飾美の知識習得、衣紋の体得とともに、古来より日本人が大切にしてきた「美しさ」への感性を大いに磨いてほしいと願っています。

 

次回は後期、書と着物の着付けを学ぶ予定です。

夏に向けて、「自分で着る浴衣」の着付けを始めました。 

2018年6月15日

日常の洋装がほとんどの現在、和装は着物や帯と小物の種類、着る際の約束事や組み合わせ、扱い方など、知っておくべきことがいろいろとありますが、基本の知識さえあれば、その人のセンスを活かした組み合わせが限りなく広がる世界です。日本の四季、行事、TPOに合わせ、自分らしい装いができるように、学んで行きたいと思います。

その第一歩として、第2回目、第3回と2回続けて浴衣の着付けを学びました。
着物を着る機会はほとんどなく、浴衣を着たことがある程度のみんなですが、着物への興味と憧れはいっぱい、幸いこの学Boooでずっと学んでくれているメンバーが後輩のサポートしてくれて和気あいあい、学科学年を超えての学Boooならではの学習ができたようです。

背縫い? 身八ツ口? (おくみ)? … 最初は講師の言う一つひとつに 「・・・」 のメンバーでしたが、実習前に資料で学んだことを思い出しながら、なるほどなるほどと理解が進み、着付けのコツもつかんだ様子でした。

とは言え、1回や2回では「体に沿う」和装の着こなしは難しいもの、まず浴衣で暮らす機会をつくって 着物に慣れること、同時に美しい身のこなし方も発見できるようになってほしいものです。

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

次回は7/27、本学所蔵の女房装束、十二単衣の着装を学びます。

日本の伝統美「和のテイスト」研究会、5年目になりました !!

2018年5月11日

「和・研」では今年度も世界に誇れる日本の文化に触れ、
その美意識から豊かな感性と教養を身に付けていきたいと考えています。

1回目は4/26のお昼休みに集合、今年度から新たに参加してくれたメンバーとともに、
これからの活動について打ち合わせをしました。


1つ目のテーマは和装(着物)について。
毎年実習しているのが本学所有の
「十二単衣(女房装束)」を用いての着付けの「作法」ですが、
まず最初は身近な浴衣の着付けから学びます。

祇園祭の宵山に間に合いますように。。。



 

 



(昨年の活動の様子)

 

そして、着物の扱いに慣れてきたら、後半はいよいよ十二単衣の着付け(衣紋)へ。
こんな素晴らしい装束に直接触れられる機会は、京都の大学でも稀少。じっくり、しっかりと学んでいきたいと思います。
前年度、右京区の講座でご披露したように、また地域の皆さまにこの素晴らしい伝統文化をご覧いただく機会があるといいですね。

 

 

 

 

 

 

 

2つ目はフィールドワーク。祭礼見学、舞台芸術鑑賞、伝統文化・工芸品の見学などを計画中です !!
京都光華だからこその学びの環境を活かして、どんどんホンモノに触れていきます。

 

 

 

 

 


さらに、好評であった「書(しょ)」の稽古にも
励みたいと考えています。
毛筆・墨による「書」の濃淡・空間の美しさや躍動感を知り、
社会人として身に付けておいてほしい、
「筆で字が書ける」ことをめざします。

 

 

 

 

 

ということで、5/11の第2回目の打ち合わせでは、
早速京都の「三大祭」の一つ、葵祭(あおいまつり)見学についての勉強会をしました。

5/15に行われる葵祭は、賀茂御祖神社(かもみおやじんじゃ=下賀茂神社)
賀茂別雷神社(かもわけづちじんじゃ=上賀茂神社)の例祭で、その歴史は1400余年。
平安時代以来国家的行事として行われ、
「路頭の儀」では500人を超える王朝装束の近衛使代、文官・武官、斎王代をはじめとする女人たちが、
騎馬、輿、徒歩で牛車2基などを従え御所⇒下賀茂神社⇒上賀茂神社へ巡行します。
まさに王朝絵巻と言うにふさわしい壮麗、風雅なお祭りです。
また葵祭に先立って下賀茂神社では流鏑馬(やぶさめ)、歩射神事(ぶしゃしんじ)、
御蔭祭(みかげまつり)、上賀茂神社では賀茂競馬(くらべうま)、
両神社交代に斎王代・女人列御禊神事(さいおうだい・にょにんれつみそぎしんじ)などが行われています。
いずれも千年の都の歴史を感じる厳かな神事です。
当日の見学スポットを伝授しましたので、各自で楽しんできてほしいと思います。

 次回は5/24、浴衣の着付けを始めます。
着くずれしない、爽やかでキリッとした装いになるよう、頑張ります !!